赤城山

黒檜山(1827.6m)/長七郎山(1578.9m)/地蔵岳(1673.9m)

赤城山登山図

2011年9月上旬、赤城山へ行って来ました。赤城山とは単独の山名ではなく、カルデラを成す外輪山及び側火山の総称です。最高峰は黒檜山(くろびさん)。最も利用者が多いのは黒檜山と駒ヶ岳を巡る周遊コースだと思いますが、登山口から山頂まで比高500m弱のため、半日で済んでしまいます。少々物足りないので、更に長七郎山、地蔵岳を加え、2倍ほどの周遊コースにしてみました。


赤城神社元宮跡地

8:01 駐車場は豊富に有りますが、今回は下山口となる地蔵岳登山口に近いスキー場前の大洞(だいどう)駐車場から出発です。黒檜山登山口まで少々距離が有りますが、大沼の浜辺を歩いたり赤城神社に立ち寄ったりで、飽きる事はありませんでした。一応黒檜山登山口と駒ヶ岳登山口にも駐車場は在ります。

写真は駐車場から湖畔に下りる道を少し行くと在る、赤城神社元宮跡地です。今は鳥居と苔むした石柵が残るだけですが、参道のモミとツガの巨木は圧巻でした。ほぼ同じ太さの5m近い幹周です。現在の赤城神社に比べると大分狭いので移動したのでしょうが、歴史を感じる境内はこのまま朽ちさせるには勿体無い気がします。

赤城神社

跡地を西に抜けるとボート乗り場や土産物屋、飲食店などが建ち並ぶ観光中心地です。駒ヶ岳登山口からも近いので、黒檜山〜駒ヶ岳までで下山し、ここで昼食を摂って終えるという手もあります。

大沼では赤城神社の鮮烈な朱が一際目を引きます。この大沼は便宜上「おおぬま」とも読みますが、地元では「おの」と呼んでいます。小沼も同じく「こぬま」でも通じますが、「この」が正しい様です。

一旦車道に出て橋を渡り、赤城神社へ寄ってみました。大きなガラス扉がデパートの入口を思い起こさせます。中はきっとエアコン完備に違いありません。否定はしませんが、ありがたみが薄れる気がするのは私だけではないでしょう。

黒檜山登山口

8:32 再び車道に戻り、400mほど北上すると湖畔周遊路が分岐します。黒檜山登山口はその対面です。駐車場を出発してから約30分経ってますが、寄り道しなければ20分位じゃないでしょうか。

大沼

登山道はいきなり急な登りで始まります。火山岩質の階段状に積み重なった道なので結構脚に来ます。救いなのは岩の表面がザラついているらしく、どれだけ傾斜した所に足を置いても滑る気配が無かった事です。山頂までほぼ全てこんな登りでした。

急な登りなのでぐいぐい高度が上がります。下写真の撮影時刻を見ると、登山口から僅か9分後でした。

稜線の分岐

9:44 やっと稜線の分岐に着きました。キツい登りで腿がパンパンです。途中で10分位の休憩を2回もしてしまいました。ここからは山頂まで3分ほどの平坦路です。

黒檜山頂

9:47 到着しました。赤城山主峰・黒檜山頂と書かれたプレートが出迎えます。残念ながら山頂からの眺望はあまり良くありません。

登りの休憩中に少し話しをした人に誘われ、山頂北側の好展望地まで行ってみました。3分ほど先に在る山ノ神が祀られた所です。その人は群馬百名山をほぼ登り尽くし、あちこち遠征もしている強者で、この辺りは近いから何度も登っているそうです。

パノラマ

台風通過の翌日は空気の透明度が凄かったですが、数日経ってすっかり夏の空に戻ってしまいました。それでもこの景色は感動ものです。右端は今後登りたい山の1つ、武尊山(ほたかやま)。


日光方面

岩の上に立つと日光方面の登りたい山ベスト3(私的)も見えました。

黒檜山大神

10:14 稜線の分岐まで戻り、今度は駒ヶ岳方向に向かいます。分岐から僅かな距離でこの黒檜山大神です。こちらからは小沼も見え、大沼との標高の違いに不思議な感覚を覚えました。

駒ヶ岳分岐

黒檜山頂から0.2kmの位置でまた分岐します。指導標には一方が「花見ヶ原キャンプ場」、もう一方が「駒ヶ岳」となっているので、見逃さない様にしましょう。印象としては駒ヶ岳方向が尾根を外れていく感じです。

大ダルミまでの高低差約200mは殆んどが階段です。前国師岳から大弛峠への下りに匹敵する段数です。

大ダルミ

大ダルミから暫くの間軽いアップダウンが続きます。笹原の中に一筋の道が通り、気持ちの良い空間です。

駒ヶ岳

10:47 駒ヶ岳に着きました。大ダルミから見上げた時は結構高いと感じましたが、意外とあっさり着いてしまいました。苦しくなり始める前に着いたので休憩は必要無かったんですが、折角なので山頂の雰囲気を味わいました。15分休憩して出発。

鳥居峠への踏み跡

11:07 駒ヶ岳から5分ほど緩い下りを行くと、ベンチの置かれた休憩所に着きます。道はここで尾根を右に外れ、大洞に向け急斜面を階段で下ってました。地形図を見ていて、このまま尾根通しで鳥居峠まで下れる気がしていたので、道または踏み跡が有りはしないかと見てみると、予想通り踏み跡が続いていました。林床が笹原なので踏み跡は割りとはっきりしています。

分岐する踏み跡

11:23 すんなり写真の位置まで来ましたが、この先がちょっと不明瞭でした。倒木が行く手を塞ぐのはわざとそうしているんだと思います。このまま直進すると恐らく利平茶屋に着くと思いますが、そちらには向かわずリボンの目印が有る右に折れて行きます。この先は50m位下の尾根派生点まで踏み跡は無いも同然でした。私はGPSナビ(山ナビ2)が有るので躊躇無く踏み込めましたが、そういった物を持たない人はこのルートはやめた方が良いかも知れません。

鳥居峠

11:33 この岩山の向こう100m位の所に鳥居峠が在ります。右に下ると覚満淵(かくまんぶち)も同じ位です。もう人の声や車のエンジン音が届いていますが、ここまで来てどうにも行き詰ってしまいました。踏み跡が散ってしまってルートがサッパリです。とりあえずこの山を越え声のする方に進みましたが、段々急斜面になって下りられそうもないので覚満淵寄りに進みました。やっと岩山を下り切り、平坦な所に出ると覚満淵との中間辺りでした。鳥居峠までまた登り返さねばなりません。

11:48 鳥居峠に到着。ほんの100m進むのに15分も掛かってしまいました。こうなると正規ルートに対する時間的アドバンテージも失われ、踏み跡を辿った意味が無くなってしまいますね。正面の建物はサントリービアバーベキューホールです。食事も出来ます。赤城山頂駅と書いてあったので何の事かと思い、帰宅後調べてみると、昔、利平茶屋からここまでケーブルカーが走っていたそうです。駅舎を利用した店だったんですね。

踏み跡出口

岩山の方を見ると、明らかな踏み跡が下りて来てました。良く見て進めば苦労せずここに出れたのでしょう。

覚満淵

覚満淵です。駒ヶ岳から鳥居峠への下山ルートが無い様だったら、ここを通って来る予定でした。下って来たルートに比べたら多少は遠回りですが、木デッキ歩道が楽しそうで、これはこれでアリですね。

長七郎山登山口

ここで昼食休憩にしようとしたんですが、観光客が車で引っ切り無しにやって来るので落ち着きません。軽く休憩するに留めました。

11:56 出発。車道の始まる所に在る階段を登って行きます。この山は小地蔵岳ですが、こちらから直接山頂に向かう道は有りません。大きく巻きながら南側の鞍部まで行き、そこから折り返して行くしかないです。眺望の無い山頂との事なので、私は行ってません。

長七郎山

13:11 長七郎山に到着。途中で昼食休憩を入れたので、実際には鳥居峠から約30分で着きます。

広く開けた山頂ですが、切り取った様に平らなので高い所が無く、意外に下の方が見えません。周りの山の山頂部分が見えるだけです。

日陰が無いので暑いです。13:18 耐えられず出発しました。小沼と書かれた方向に下って行きます。

下山路

少し下るとまた禿げた所が在りました。ぱっと見川原みたいです。山頂もこんな感じと思ってもらえればイメージが伝わりますね。

下りきって平坦な所に出ると道が突き当たります。右へ鋭角に進みます。

小沼

再び小沼で突き当たります。ここまで山頂から25分。道は小沼を1周しているのでどちらでも着きますが、左が近いです。

八丁峠に向かう道

車道に近い所で小沼駐車場へ向かう道を分けます。大した差は無いですが、左が近道です。車道に突き当たったら左へ。

八丁峠

13:44 約200mで八丁峠です。少し奥に入ると砂利敷きの小さな空き地になっていて、そこから地蔵岳とスキー場への道が分岐しています。

地蔵岳登山口

地蔵岳への登りは終わりの見えない階段で始まります。山頂までの7割位は階段だったでしょうか。さすがに疲れて足取りが重くなりました。終盤に来てこの階段は堪えます。

山頂のアンテナ塔が見えるので、残りがどれ位か掴み易く励みになります。

地蔵岳山頂

14:16 やっと到着しました。地蔵岳山頂です。この日も下界では32℃位の真夏日でしたが、1700m程度とは言え、やはり山です。涼しい風が吹いていました。大量のトンボが飛び交い、一足早い秋が訪れています。

山頂からの眺め

大沼を見下ろすこの景色! 眺めの良さは赤城山随一でしょう。


首無しの地蔵

お地蔵さんが並んでいます。しかし、どういう訳か全て首無しです。代わりにこぶし大の石が置かれていました。これも明治の廃仏毀釈によるものでしょうか。

アンテナ塔は西側に集中してます。明らかにこちら(三角点位置)より数m高そうですが、疲れて行く気になれませんでした。もしかしたら西側の眺めが良かったかも知れません。

下山口

14:33 下山路は指導標脇から始まります。すぐ先で方向を変え、お地蔵さん前の不自然な瓦礫の空き地を通って道は下っていました。後になって知りましたが、平成10年までここにはロープウェイが稼動していたそうです。空き地は恐らく山頂駅の在った所なのでしょう。

その後は鬱蒼とした雑木と笹薮の中を下って行きますが、この道ははっきり言って危険極まりないです。今まで何十と登った山の中で最悪の道でした。黒檜山の登りと同じ様な道ですが、数日間晴れ間が続いたにも拘らず未だに路面が湿っていて、水蘚の付いた道は恐ろしく滑ります。急斜面なので手が付けられません。

分岐

50m(高さ)位下ると軽い登り返しの小ピークがあり、更に100mほど下るとこの平坦地で道が分岐しています。この先は残りの150mを一気に下っています。神経を使う道なので丁度良い休憩地です。

指導標に「大洞」と書かれた右の道を行きます。左は「赤城少年自然の家」となっていました。

下山路

分岐を過ぎても道は相変わらずで、慎重に進んで行くと途中から脇に並行して踏み跡が出来ていたので、そちらへ移りました。少しはマシと言う程度ですが、大きな違いは木に掴まりながら歩ける点です。これで突然の「ズルッ」に対処できます。小さな正義感より怪我をしない事の方が大事ですから。

15:10 登山口に着きました。駐車場は目の前、Y字路の三角地です。来た道を振り返って見ると、鬱蒼とした薄暗い中を登っていて、ちょっと進入をためらう様な道です。八丁峠からもこの駐車場に戻れますから、遠回りになりますけど往路を往復する事を私的には勧めます。

駐車場

駐車場はこの場所に不釣合いなほど広いですが、トイレの前辺りは積雪期にはスキー場になる事、そのスキー場にはかつてロープウェイの山麓駅が在って、簡単に山頂へ行けた事などを後で知り、納得しました。

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