浅間山は2つの外輪山を持ち、幾つかのピークそれぞれに山名が付いています。榛名や赤城と同様に、それらを引っ括るめて浅間山なのです。活火山なので登山規制が有り、1〜3の警戒レベルに応じて立入り可能な範囲が変わります。現在は最も緩いレベル1ですが、それでも火口から500m圏内は立入りが認められていません。つまり、最高地点の釜山(火口)は常時行く事が出来ず、今回登った前掛山が事実上の山頂になります。
小浅間山や石尊山からの入山は禁止なので、現在は車坂峠からの黒斑コースと浅間山荘からの火山館コースに限られます。今回は周回出来る黒斑コースにしました。
高峰高原ビジターセンターの裏に大きな駐車場が在ります。トイレはビジターセンターのものが使えますが、時刻が早いなどで閉まっている時は高峰山の登山口にも在ります。
表コースと中コースの二通りで登れますが、眺望の無い中コースより表コースの方が人気が高い様です。私もまず表コースを登り、帰りに中コースを下ってみました。
7:06 高峰高原ホテルの前が表コース登山口です。中コースはここからでも駐車場の前からでも行けます。
車坂山への登りで始まりますが、何の目印も無いまま通り過ぎてしまいます。道が下り始めて初めて通過した事を自覚します。道の傍らに花がよく咲いていたという印象しか残っていません。
再び登りに転じ、暫く行くと樹林からガレ地に変わります。初めて眺望らしい眺望が得られます。八ヶ岳が雲海に浮かんでいました。下には小諸の街並みが広がっています。
更に登ると視界を大きく塞いでいた車坂山を見下ろす様になり、一気に広がります。以前登った篭ノ登山が見えました。遠くに北アルプスも見えます。
水ノ塔山の右には四阿山が頭を出していました。その間に見えるのは妙高辺りの山並みでしょうか。道はこの後再び樹林帯に入り、暗く閉ざされます。
槍ヶ梢手前で一瞬開けました。初めて浅間山本峰が目に入ります。この後シェルター脇を通って槍ヶ梢へ。
8:10 槍ヶ梢から一旦下り、登り返すとトーミの頭です。切り立った断崖の上で下を見るのが恐ろしい。湯ノ平口からこちらに伸びる草すべりの道筋が見えますが、とてもじゃないけど縁に近付けません。他の人が下を覗き込んでるのを見るだけで膝の力が抜けそうです。
ここから見ると前掛山が1番高く見えます。それにしても、予想以上の好天に恵まれました。
写真では伝わらない雄大な景色です。これから第1外輪山をぐるっと巡り、鋸岳からJバンドを下って第2外輪山の前掛山に向かいます。8:17 出発。
直ぐ先に分岐が在ります。下る道が草すべりです。私は単純に帰りは直線的なコースを取りたいと思い、黒斑山(くろふやま)に向かいましたが、鋸岳から黒斑山にかけてじわじわと標高を稼ぐ逆回りの方が、幾らか楽だったかも知れません。
8:30 黒斑山に到着しました。木陰になっているので本格的な休憩とします。考えてみたら、この先の山頂は全て日陰が有りませんでした。
この時刻で既に前掛山に人が居ます(カーソルを写真に合わせてみてください)。余程早い時刻に登り始めたのでしょうね。
いつもは嵩張るので持たないのですが、今日は望遠レンズを持ってきました。撮影が楽しい。
富士山を撮ったら五丈岩がはっきり写ってました。あそこが金峰山だったんですか。右を見れば確かに瑞牆山の特徴ある姿を捕らえています。
8:47 休憩を終え出発。
9:05 蛇骨岳です。中コースがなぜ中なのか、不思議に思いますよね。実は他に裏コースというのが有り、ここに登り着くんです。今はロープが張られて通行出来ない様でしたが。
9:15 仙人岳には第1外輪山で唯一の三角点が有ります。
9:33 ここを下る道がJバンドです。鋸岳は少し先なので、一旦通過します。
9:36 二つ目の小ピークが鋸岳かと思ったら、もう一つ先にケルンが見えました。どうやらこちらが山頂らしいですが、何の表示も無いし、手前の小ピークより低く感じます。しかし、帰宅後にGPSログを地形図に合わせたら、2254m標高点にぴったり一致しました。
Jバンドを下って平坦地に到着。下り始めの岩場だけ高度感があって少し怖いですが、危険と感じる所は有りませんでした。
振り返って見るもどこがどうやら全く分からず。取り敢えず下って来た道筋が右端の方に見えます。
10:04 賽の河原分岐までが結構遠く感じましたが、実際は平坦地に下りてから12分でした。突き当たりになっているので、うっかり通り過ぎてしまう事はありません。
この辺りが賽の河原でしょうか。下から見上げる浅間山は平べったく見えます。全然そんな事ないのはこれまでの写真が物語ってますが。
10:55 直進が柵で塞がれ、ここで大きく右に進路を変えます。前方に見えているのが火口です。ハイキングマップの区間タイムは分岐からここまで70分ですから、20分近く縮めました。よしよしと気を良くして休憩にします。直ぐ先のシェルターまで行けば日陰に入れますが、あちらには人が大勢見えます。タバコが吸いたくなったので、人の居ないここで我慢です。
10分休憩して出発。シェルターに陣取っていた団体さんも同じ頃に出発した様です。何てタイミングの悪い…
11:20 前掛山頂に着きました。釜山が目の前ですが、行けるのはここまでです(風向き等の条件が良い日は自己責任で行く人も居る様ですが)。因みに、ここより44m高い最高地点は火口をぐるっと半周した向こう側です。
芋掘りドッケンの時とは違う爽やかな空気です。まず気温からして全然違います。標高が1000m以上違うのだから当然か。夏はやっぱり2000mオーバーの山じゃないとダメですね。
ここで昼食休憩にし、12:21 下山開始。
木が全く生えていないので、常にこの景色を見ながらの下山になります。
13:14 湯ノ平口に到着。ここから草すべりが分岐します。第1外輪山が恐ろしい高さで聳えています。本当にあんな所を登れるのか? 写真にカーソルを合わせて下さい。矢印の様なルートを蛇行しながら登って行きます。
登り始める前にまず充分脚を休めなければキツそうです。休憩にしました。
13:28 出発。
下から見て感じたよりも、実際は思ったより緩傾斜でした。しかし、苦しい登りに違いは有りません。火山館コースの登山口は標高1410m辺りで、前掛山との標高差は1110mになります。対して、黒斑コースは車坂峠の標高が1973mなので、標高差550mです。単純に比較したら火山館コースの半分です。しかし、間にはこの第1外輪山が居座るのです。累積標高では大差無くなるんじゃないでしょうか。
雲がとうとう外輪山の中へ進入しました。登山道が雲に覆われています。今あそこを歩いている人はどう感じているでしょうか。視界が利かなくて嫌なのか、涼しくなって丁度良いと思っているのか…
トーミの頭の近くまで登って来ました。誰かが下を覗き込んでいます。端に立つんじゃない!! 見てる方が怖いじゃないか。
14:13 トーミの頭にやっと到着。脚を投げ出してへたり込みます。1時間じゃ着かないと思っていましたが、45分でした。
ここで再び充分な休憩を取り、14:27 出発。
槍ヶ梢との鞍部で中コースが分岐します。帰りは中コースを下りました。
大部分が樹林帯で眺望は殆んど有りません。石の積み重なった天然階段や根が張り出した道、深く抉れた粘土質のぬかるみも有ります。荒れた道です。暫く下って行くとガレ地になり、樹林から抜けました。左に高峰高原ホテルが見えます。眺望が得られたのはこの部分だけでした。
再び樹林に入って行きます。不安定なガレ道は疲れた脚に堪えます。足首をグキッとやりそうでスピードを上げられません。
15:15 道路に向かって分岐しています。あの向こうが駐車場です。やっと着きました。途中に裏コースらしき分岐が在りました。細い道でしたが、こちら側からは規制していない様です。