2011年11月中旬、上毛三山の残り1座、榛名山へ行って来ました。Photoページをご覧頂けば分かりますが、実は登山にハマる前に妙義山へは登っているのです。とは言え、あそこは山頂を踏むとなると超危険なハイグレードコースですから、石門巡りの一般コースですが。榛名山は他の2座と同様に単独の山名ではなく、複数の山からなる総称です。最高峰は1449mの掃部ヶ岳(かもんがたけ)で、今回はそれを含め、主要な山を巡る欲張り登山になりました。
駐車場から見た夜明けの榛名山です。左が烏帽子ヶ岳で右が榛名富士。シルエットがなかなか絵になります。こんな所からでは勿体無かったですね。湖畔に出てじっくり撮ってみたい所です。いづれ機会が有れば今度は写真撮影の為に来たいです。結局榛名神社にも寄らずに帰ってしまいましたから。
6:09 向かいの駐車場に車を止め、この湖畔の宿記念公園から掃部ヶ岳に登り始めました。カルデラ内から登るので、1つ1つの山は1時間も掛からずに登れてしまいます。その為に今回はこんな欲張った登山になってしまったのですが、登り終えた感想としてはちょっと欲張り過ぎました。終盤の天目山などはほぼ階段のみなので、辛いだけで楽しくありません。相馬山ぐらいで止めておくのが丁度良いです。
公園奥から登山道が伸びています。何の表示も無いですが、リボンやペイントの印が点々と続くのでそういう登山に慣れた人なら問題なく登れるでしょう。枯れ草が多かったので夏期には向かない道かも知れません。
最初の(高さ)100mは急斜面でしんどいですが、笹原に出ると一旦緩みます。暫く続いた後再び急登になり、その後は緩急織り交ぜながらの登りになります。途中一箇所大きな岩が行く手を塞ぎ、左に巻きながら這い上がる所が在るので、家族連れでハイキングという向きにはお勧め出来ません。下山に使った一般道が良いでしょう。
6:47 一般コースに合流しました。山頂はまだ先ですが、ここからは大分楽な登りに変わります。指導標にこちらの道も書かれていたのは意外でした。バリエーションルート的な扱いだと思っていたのですが、しっかり案内されています。
山頂まで僅かの所になって、やっと眺望が開けました。東南方向が望めます。登山口から比高およそ350mなんですが、最高峰なので全ての山を見下ろす事になり、結構高さを感じます。
6:56 掃部ヶ岳山頂です。広角レンズによる撮影なのでまあまあ広く見えますが、実際は写真の印象より狭いです。
南方向が開けています。中央の家並みは榛名神社参道の店でしょう。左に鏡台山、右に李ヶ岳(すもんがたけ)が写ってる筈ですが、同定出来ません。榛名山はこれらも含みます。7:02 下山開始。
帰りは硯岩(すずりいわ)に寄って行くので一般コースを下りました。
7:21 鞍部まで下ると下山路は右に折れますが、この時正面に見えているのが硯岩です。標高1251mのピークに大きな岩が突出して、展望台の様になっています。鞍部から片道5分程度で登れます。
7:25 硯岩からの眺めです。直下に国民宿舎榛名吾妻荘が見えました。下山口はあの辺りです。
これから巡る山々の大部分が一望出来ました。相馬山だけが榛名富士に隠されています。
7:54 下山したら湖畔路を600〜700m歩いて次の登山口まで移動します。この登山口は余り使われていないらしく、道形ははっきりしているものの踏み跡は薄く荒れた感じがしました。道標の類も一切有りません。
途中で分岐が在りました。直進する広い道に対し右に分岐する道はやや細いですが、リボンがそちらに付けられています。少々迷いましたがリボンを信じる事にし、右へ進みました。GPS軌跡を見て貰えば分かりますが迂回路だった様です。直進する道と合流する筈の所へ差し掛かっても合流する道は有りませんでしたから、この間に何か通行出来ない事情が有るのでしょう。
8:09 鬢櫛山(びんぐしやま)と烏帽子ヶ岳の鞍部に登り着きました。笹峠と言うらしいですが、表示が無いので確かか分かりません。鬢櫛山は眺望の無い山らしいのでパスし、右へ進みます。
8:13 すぐに烏帽子ヶ岳登山口からの道と合流します。前方には鳥居が見えてきました。
加護丸稲荷と書かれた鳥居を潜ると急登が始まります。石の積み重なった階段状と土の急傾斜が交互に攻め立ててきます。白いロープを渡した柵が続くのでルートははっきりしていました。
8:29 山頂直下に小さな鳥居が立っていました。この岩に空いた穴が加護丸稲荷の御神体なのでしょう。中には小さな狐の像が大量に納められていました。今回は麓に何度も下りる特別な登山なので、珍しく財布を持ち歩いていた為普段はやらないお参りをしておきました。
8:34 ロープの下がった岩場を登り、笹原の踏み跡を辿ると間も無く山頂です。木に囲まれ眺望は有りませんが、ここで諦めて帰るのは早いです。南に続く踏み跡を更に辿り、1〜2分も歩けば大パノラマが待っています。
そこは大きな岩がせり出して展望台の様になっていました。気温はまだ低い時間帯ですが、日当たりが良いので暖かいです。
眼前に榛名富士が大きく視界を占めます。すぐ前の茂みが写り込んでいる為パノラマ写真は失敗してました。スイングパノラマはちょっとコツが要て、こういう所ではカメラを軸に回転しないと稜線のガタガタが酷くなってしまいます(遠景だけなら自分を軸にしても大丈夫)。15分ほど休憩して出発。
9:12 麓に下りるとこちらにも稲荷社が在りました。山頂のを分霊しているのでしょう。幾つか続く鳥居を潜って榛名富士方向に向かいます。
正面の公衆トイレの所でY字路になってます。そこを左に向かい、数十m歩けば登山口はすぐです。
9:15 ゆうすげ元湯の敷地の終わり、林間学園の正面辺りに登山口が在りました。指導標も立ち、思っていたよりしっかりしています。
9:53 榛名富士(1390.3m)山頂に到着。榛名富士神社の在る所が最高地点です。
神社前から撮影。掃部ヶ岳では朝もやだと思っていたのですが、この時間になっても一向にすっきりしません。二ツ岳の奥に薄っすら見える赤城山が視界限界です。この日は1日中こうでした。
南へ少し下った所がロープウェイの山頂駅です。殆んどの人がロープウェイを使っている様で、登山スタイルの人は数人だけでした。
駅舎横が展望台になっていて、そこからの眺めもなかなか良かったです。こちらからだと榛名湖も一部見えます。
10:11 駅舎西の広場から登山道が下っています。こちらの方が利用者は多いらしく、歩き易い勾配で道も確りしていました。北側の登りでは誰にも会いませんでしたが、こちらの下りでは4〜5組の登山者とすれ違っています。
10:38 下山は約25分でした。ビジターセンター近くに下りて来ます。榛名富士をバックに繋がれていた馬をパチリ。ここは乗馬が出来るんでしょうか。東へ一直線に伸びる舗装路を歩き、次は相馬山を目指します。
約700mの舗装路歩きです。疲れるので路肩の草地を歩きました。正面に見えているのが相馬山です。
10:49 33号線に突き当たったら右へ少し行くと「ゆうすげの道」入口が在る筈ですが、直進する踏み跡が有ったので思わずそちらへ進んでしまいました。ゆうすげの保護区なので本当はダメなんですけど。草地の中を20〜30m行くと木デッキ歩道に突き当たりました。「ゆうすげの道」です。
少し歩くとベンチが有ったので昼食にしました。11:45 まで休憩して出発。
4〜5分で突き当たるので右へ。左は33号線が近くを平行して走っているのですが、路面に細工がしてある様で車が通ると音楽が聞こえて来ます。タイヤのロードノイズで音階を作り、「静かな湖畔」を奏でます。
「♪静かな湖畔の森の影から もう起きちゃいかがとカッコウが鳴く カッコウ カッコウ カッコウカッコウカッコウ」…休憩中もずっと聞こえていました。うまくタイミングが合えば輪唱もします。
13:06 もう一本の「ゆうすげの道」を右に分け、そのまま直進すると鞍部で「関東ふれあいの道 榛名外輪山自然歩道」に突き当たります。左が相馬山方向です。
鞍部から100m位離れてますが、ここに磨墨峠(するすとうげ)の表示が有りました。東屋こそ建ってますが、道は緩い登りの一本道で何故ここが峠なのか分かりません。古い道はこの辺りを乗っ越していたのでしょうか。
12:09 朱の鳥居が在りました。ここでヤセオネ峠からの道を左から合わせます。これとは別に、鉄製の錆びた鳥居があと2つ山頂までの間に有ります。
鳥居を潜るといよいよ本格的な登りが始まります。この様な梯子が2箇所、鎖場が幾つか、それ以外の所も急激な登りです。恐らく榛名山随一の難路だと思われます。
12:34 相馬山(1411m)山頂に到着しました。山小屋みたいな建物は黒髪山神社です。小さな鳥居の先は殆んど崖の様な斜面で、下に石仏が多数見えます。但し、チェーンで立ち入りを規制している為下りられません。
神社の東側にも多量の石仏、石碑、石祠が並んでいて、明らかに他の山とは違っています。登山道脇にも多数見られました。信仰登山の中心はここだったろうと感じずにいられません。
12:59 下山を始めようとした時、神社の裏手に妙なボックスを発見しました。もしやと思い中を覗くと、予想通りトイレです。神社の中には畳の部屋が有り、氏子さんが宿泊出来そうだったのでその為の物でしょう。
13:27 磨墨峠下の鞍部から磨墨岩を見上げています。峠に有った案内板によると、「するす」とは粉をひく臼の事で、この岩がするすに似ている事からするす岩、その岩が在る峠なのでするす峠と呼ばれたそうです。磨墨は当て字。
磨墨岩に登ってみました。相馬山を思わせる登りで、最後も向こうと似た様な鉄梯子になっています。片道約5分でした。
磨墨岩から相馬山を振り返って。磨墨峠の東屋が見えます。なだらかな稜線から唐突に角度を変える所が最初の鳥居の在る所です。
この写真以上に広く見渡せます。午後になって益々空気が霞んできたのか、曇り始めた天気のせいか、ちょっと味気無い写真に見えます。
榛名富士と蛇ヶ岳。鞍部に烏帽子ヶ岳。この道路が例の音楽を奏でる道路です。写真に車が写ってますから撮影時にも聞こえていた筈です。意外に良く通る音で、天目山の登りでも聞こえていたのを憶えています。
磨墨峠〜松之沢峠間は非常に良い道です。急な登りも無く、そこそこ良い眺めで、歩いていてホッとします。ハイキングにピッタリですね。花の咲く頃にゆうすげの道と合わせて歩くと良いかも知れません。
車道に突き当たりますが、ここは松之沢峠ではありません。車道へは出ずに、左へ折れて並行する歩行者道を行きます。
14:02 約100m先で車道を渡ります。ここが松之沢峠です。
一登りして防火帯の鞍部に出るとツツジ峠です。道はそこで大きく曲がっていますが、逆から来るとそれに気付かず三角山(1236m峰)に登ってしまいそうです。防火帯は三角山まで一直線に伸びていますから。
道は暫くなだらかですが、三ツ峰山への分岐が在る無名ピークの登りは大変です。階段が長々と続き終わりが見えません。下から見上げたまま暫く固まってしまいました。
クタクタで登り切るとベンチがポツポツ置かれていたので10分間休憩にしました。
14:39 ちょっと下るとすぐに七曲峠です。ここから天神峠までは正に階段地獄なんですが、この時はそんな事知る由もなく、天目山からの眺望に期待に胸膨らませて登って行きました。
14:56 天目山(1303m)に到着。木に囲まれて眺望は無しです。冬枯れの時期なんでそりゃあ少しは見えますが、期待外れもいいとこですね。5分休憩して出発。
15:25 氷室山に到着。同じく眺望無し。そのまま通過。
天目山、氷室山共に、登りも下りもほぼ全て階段でした。終盤に来てこれは非常に堪えます。ここ暫く無かったんですが、翌日は筋肉痛で大変でした。
氷室山からの下りで初めてまともな眺望が得られました。烏帽子ヶ岳はこの方向からが1番烏帽子らしく見えます。
15:35 左は榛名神社への分岐です。かつては榛名山と結ぶ唯一の道だったそうで、古来から沢山の人がここを通過した事でしょう。興味有る道ですが、榛名神社まで50分掛かるそうなので今回は無理です。
もしかしたらここが本来の天神峠かも知れません。今は天神峠バス停の交差点をそう呼んでますが、車道が開通する前は恐らくそこは通らなかったと思うので。
15:38 天神峠通過。
15:44 駐車場に到着。駐車場をぐるっと半周した所が出入口です。奥に見える建物はうどん屋兼軽食喫茶。山から下りると無性にコーヒーが飲みたくなるので便利です。