三ツ峠

木無山(1732m)/開運山(1785.2m)/御巣鷹山(1775m)

三ツ峠登山図

2011年8月上旬、三ツ峠へ行って来ました。三ツ峠の峠とは文字通りの峠ではなく、朝鮮古語由来のトッケから転訛したもので、正しく意味を表すなら三つ突起とかになるんでしょう。開運山、御巣鷹山、木無山の三山を指しますが、主峰の開運山を指す場合もあります。つまり、ここも奥多摩のと同じく三ツドッケなんです。


河口浅間神社

5:21 河口浅間神社の向かいに在る駐車場から出発です。最も短時間で登れるのは御坂口みたいですが、母ノ白滝を見たいですし、長時間掛けてわざわざ来たのに、すぐ済んでしまったら勿体無いですからここにしました。

浅間神社は一般的に「せんげんじんじゃ」と読みますが、ここは「かわぐちあさまじんじゃ」です。山梨には「あさま」と読む所が多いみたいです。この神社には七本杉と呼ばれる神木が有り、それにも興味があったというのがこの登山口を選んだ理由の1つです。鳥居の奥から始まる杉並木の、1番最初の杉にも度胆を抜かれますが、これは七本杉に数えません。

御爾

拝殿前のこの杉が1番太く感じましたが、案内板を見ると2番目に細いです。それでも幹周6.85mと立派な杉ですが、これは幹周の計測方法が地上1.3m(ここのは1.5mで測定されていた)と決められている為であり、仮に地上2.0mとかで測ったら恐らく1・2を争う値になるでしょう。

七本杉

上の杉が@、左がABC、下がDEで、Fは撮りませんでした。数値上はDが8.65mで最大ですが、実際目にすると@Aの方が太く見えます。

登山口

境内をそのまま裏に抜けるとこの道です。右手は母ノ白滝から流れてきた川です。登山道は暫く川沿いを上流まで詰めて行きます。

左は白滝林道と書いてありました。母ノ白滝のすぐ近くまで舗装路が来ていましたから、これを使えば車で行けるのかも知れません。

民家横の小路からいよいよ山道らしくなっていきますが、あまり使われない道らしく草だらけです。前日の雨と朝露の為、あっと言う間にズボンがびしょ濡れになってしまいました。草はほぼ腰までの高さですが、時々背の高いイネ科の草が道に被っているので、半袖だと痛いです。

母ノ白滝

5:50 母ノ白滝が見えて来ました。早朝だというのに既に1人三脚を立て、陣取っている人が居ます。

母ノ白滝2

なかなか立派な滝です。

滝

右岸の階段を上ると、すぐ上にもう1つ滝が在りました。落差は同じ位ですが、幅がずっと狭いので水量がやたら多く感じます。案内板の類が無いのでどちらが母ノ白滝か分かりませんが、白滝という名に相応しいのは下段の滝でしょう。

林の中を行く道

滝を過ぎると沢からやや離れ、林の中を行く道になります。草薮の細い道も滝までで終わり、林道の様な広い道になりました。アカマツの若木が目に付きます。

林道に合流

6:28 送電線鉄塔の下で林道に合流しました。出発から既に1時間経ってますから、ここで10分休憩です。

数十m林道を行くとショートカットの登山道が分岐します。更に先でもう一度ショートカットした後、西川新倉林道に突き当たるまで、最後の500〜600mはこの林道を歩きます。

西川新倉林道

6:56 西川新倉林道に突き当たりました。向かいに見える細い登山道に入り、後はこの尾根を直線的に詰めるだけです。

ここから木無山までは長く厳しい登りです。先月は悪天候などにより、金峰・国師の簡単登山だけで終わってしまいましたから、体が完全に鈍っていて大変でした。休憩しようにもポイントが無く、立ち止まって息を整える位しか出来ません。

木無山

8:02 木無山です。1732mの標高点は正面の草地ですが、植物保護の為立入禁止でした。左へ行けば主峰の開運山です。

御巣鷹山

開運山より先に御巣鷹山が見えました。アンテナに雲がかかり、白く霞んでいます。

開運山

展望広場に着くとやっと開運山が見えました。予報通り時々日が差すのですが、上空の雲に隙間が開くだけで肝心の景色は望めません。

屏風岩

屏風岩を見ると下から湧き上がる雲で刻一刻と姿を変え、見ていて飽きません。しかし、下の方は常に雲で隠され、その高さは想像するしかなく、恐ろしくも思えます。

三ツ峠山頂

8:29 山頂に到着です。やはり眺望は無理でしたが、雲の動きが速いので時々西側が開けます。その時に見える景色が最高でした。富士山眺望の山で富士山が見えないのはちと残念ですが、photoページの為に写真を整理していたら富士山を写している物がやたら多く、たまにはこんな日があっても良いと思えて来ました。

時刻が早いので山頂には誰も居ません。流れ行く雲を暫く眺めていました。

展望広場

雲が引いて先程山頂を撮った展望広場が現れました。何か凄く良い眺めです。左側のこの雲が湧き上がってくる所は屏風岩です。

20分ほど過ごしていたら数人登って来ました。狭い山頂なのですぐに一杯になってしまいます。一旦山頂を辞し、御巣鷹山に向かいました。

御巣鷹山山頂

9:01 御巣鷹山へ着いた時には青空が見えていました。目まぐるしく変化しますが、これは上空だけで井戸の底から見上げた空の様なものです。

山頂はアンテナ施設が占有して山名板も有りませんでした。当然ベンチなども無く、のんびり休憩するには適しません。とは言え、下山するには早いですから少し時間をつぶしましたが、それも10分が限界でした。

鞍部から直接展望広場へ行けるのですが、天候回復に一縷の望みを抱き、再び開運山へ向かいました。到着すると10名ほどの人数で賑わっており、座る場所の確保も難しく、景色は相変わらずなのでそのまま通過しました。

展望広場で昼食休憩としました。少し早いかとも思いましたが、朝食から既に6時間以上経っているので実際は頃合です。1時間近くここで粘ったんですが、状況は変わる事無く、10:33 下山を開始しました。

府戸尾根分岐

10:39 木無山の分岐は来た時と逆方向に向かい、府戸尾根を下って行きます。通行量の違いが人目で分かる草薮の道でした。

それにしても、もの凄い草の量です。標高1700mオーバーですから、秩父・奥多摩だと鷹ノ巣山や両神山クラスですよ。あっちでは見た事ありません。もしかしたらこれが本来の姿で、秩父・奥多摩は鹿の異常繁殖による特異な状況なのかも知れません。

ヒキガエル

道端の石と思っていた物が突然動き出し、思わず飛びのくほど驚きました。ヒキガエルです。初めて見ました。脚を縮めた状態でも15cm位ありそうな大きさで、ウシガエル並みでした。

鉄塔下からの眺め

11:30 こちらの尾根にも鉄塔が在ります。登りの時と同じ送電線がここまで繋がっているんです。広く刈り払われた草原になっており、眺めの良い場所でした。

富士山の方を見ると大きな入道雲にすっぽり包まれ、裾野しか見えませんでした。この方向だと丁度吉田口が正面になる筈です。あの辺りは今頃ひどい雨かも知れません。

霜山

11:46 登山道は霜山(1301.7m)を巻いていましたが、踏み跡が分岐していました。行ってみると山頂までほんの20mほどで、山名板も無い寂しい山頂でした。わざわざ行く程の所でもありませんでしたが、地図に名が載る山ですから、たった20mの寄り道を避けるのもどうかと思います。しかも、そのまま反対に抜けて元の道に合流できますから、殆んどロスは有りません。

湖畔下山道分岐

12:10 湖畔下山道をすぐ下に見える舗装路まで下りて行きます。直進はカチカチ山ロープウェイで有名な天上山です。ここは風が良く通り涼しかったので、最後の休憩をしました。

地形図の道入口

この舗装路は登りで通過した西川新倉林道です。登山地図だと下山路は道路を突っ切ってますが、実際は突き当たりでした。恐らく左に進むと続きが在るんでしょうが、ここは逆に右へ行きました。地形図に産屋ヶ崎まで下るルートが載っているので、それを使って下りるのです。

破線の始まるカーブまで300m位だったでしょうか。カーブミラーの有る急カーブから下っていきます。登山地図にこの道は無いのである程度予想していましたが、やはり廃道の様で道は在りません。藪を掻き分け少し踏み込んでみると、林床に草も無く歩き易そうです。これなら行けそうです。

道の跡

少し進みヤマナビ2で現在地の確認をしてビックリ。隣尾根に乗っていました。慌てて進路修正し本来の尾根に乗ると道の跡が残っていました。更に進むとリボンやペイントサインも見られます。しかし、安心したのもつかの間、p1082手前でそれらは尾根を外れて行きました。少し追ってみましたが、逆方向に向かっている様なので尾根を下る事にしました。ペイントサインの行方は、もしかするとハーブの里オートキャンプ場かも知れません。

暫く下っていると、尾根筋に沿って1本の溝が見られる様になりました。かつての道に違いありません。今は落ち葉が厚く溜まり逆に歩き難いですが、良い目印になるので安心です。

山ノ神

山ノ神らしき石祠が在りました。完全に忘れ去られた様な状態ですが、この様なものがあるのならここもかつては林業が盛んだったのでしょう。

下山口

13:08 産屋ヶ崎の少し手前で地形図通り道が分かれていました。通行量は少なそうですが、こちらは広く立派な道がはっきりと残っています。ここ迄来てしまえばもう安心ですが、遠くで聞こえていた雷鳴が大分近付いて来ました。急がねばなりません。

13:19 車道に出ました。手持ちの地図にはまだ載っていない、御坂みちの新道です。

集落の道

天気予報では15時頃から曇りでしたが、すぐにでも雨が降ってきそうな空模様です。御坂山から黒岳にかけての空が真っ暗でした。

駐車場に着いたのは13:35 です。登山靴を履き替えていると1分も経たないうちに土砂降りの雨になりました。危機一髪です。

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