2011年10月下旬、適度な空気の冷えと気力の充実により、いよいよ大ドッケから大平山に至る藪山へ挑む気になりました。藪漕ぎ覚悟の山行ですから、せめて暑さだけでも凌げる気温でないと体力的にキツいと思い、登ってみようと思い付いた6月から4ヶ月経っての実行です。本来なら目的地は大平山にすべき所ですが、クリッカブルマップで酉谷山の文字が大平山に被ってしまい、仕方なく大ドッケを代わりの目的地としました。
6:21 浦山大日堂に車を止め出発です。地蔵峠から峠ノ尾根を登り大ドッケを目指します。トイレ脇に有る鹿のオブジェがお見送り。
川俣橋を渡り天目山林道に入ります。この天目山林道は、以前グミの滝経由で三ツドッケに登った時、シゴー平先の登山口まで通った道です。
20〜30mで右に細い道が分岐するのでそちらへ。この道は細久保集落に通じています。
暫く登って行くと61号鉄塔の送電線巡視路が分岐しました。この時は直進してしまいましたが、この巡視路を辿るのが近道だった様です。
更に進むと再び分岐してました。今度はどちらも立派な道ですが、直進する道に比べて分岐する方は殆んど歩かれていない感じです。細久保集落はとうの昔に廃墟と化していますが、その奥地に有名な福寿草自生地が在るとかで今でも大勢の人が訪れている様ですから、直進する方が細久保への道なのでしょう。今回はそちらに用は無いので分岐する道へ入りました。
多分2度目の折り返しだと思いますが、直進して尾根を回り込む感じにはっきりとした踏み跡が分かれていました。ヤマナビ2で現在地を確認すると細久保集落に近いです。地蔵峠をどうしても見たかったので寄りたいんですが、場所は地形図の標高点586ですから大分行き過ぎてます。東に向かう踏み跡の方へ進みました。
6:53 踏み跡を辿って稜線に出るとやはり峠の上側で、そこから下って峠に到着しました。写真右には巡視路を示す黄色い柱が立ち、そこそこ踏まれた道が登って来ています。これを使えばもっと早く着いていたでしょう。指導標には「細久保地蔵峠ハイキングコース 細久保部落20分」と書かれています。一体いつ頃の物でしょうか。
傍らには二十三夜塔とお地蔵さんが並んでいます。ちょいと調べたら二十三夜は勢至菩薩を本尊としているそうで、お地蔵さん(地蔵菩薩)との組み合わせは妙ですね。
それは兎も角、これは期待通りの見事な峠ですよ。邪魔な植樹林を取っ払って眺めを良くすれば、それだけで人が集まりそうです。
対峙する所には山ノ神が祀られています。背後の巨木がこの峠の顔ですね。ブナ科の常緑樹までは分かりますが、その先が全く判別出来ません。木肌が椎っぽいのでスダジイでしょうか?
7:10 来た道を戻り、更に先へ進むと61号鉄塔に出ました。送電線の通る部分には木が無いので、鳥首峠辺りの稜線が間近に見えます。
7:54 1050m圏の東西に細長い平坦地に近付くと南面が伐採地でした。鹿除けネットが張り巡らされていますが、中は苗木が植えられた様子がありません。自然に任せた感じです。こういう場所が増えれば将来は今以上に山歩きが楽しめそうです。
眺めが良いので初休憩としました。目の前には最後に下るつもりの仙元尾根が長く横たわります。出発点の標高は約450mで、行程中の最高地点は七跳山の1651mですから、ここが高さの点では丁度中間点になります。この先はもっと楽な登りになるでしょう。10分ほどで出発。
8:43 スズタケが多くなってきたなと感じ始めた頃、大ドッケに到着。この大ドッケの場所についてははっきりせず、もう少し上の独標1315を大ドッケだとする説も有るので迷いましたが、ハイカーに最も多く使われる「山と高源地図」ではこの尾根分岐のピークを大ドッケとしている様なので、それに倣いました。標高の1260mについては標高点が無いので等高線から判断しました。正確には1260m以上1270m未満です。
大ドッケから大平山に掛けての道のりはスズタケとの戦いになる筈でしたが、予想通りと言うか、予想以上に減退していて呆気無かったです。確かに場所により顔の辺りにスズタケが被って鬱陶しいですが、腕による藪漕ぎは必要でも足による踏み分けが全く必要ないので、スピードダウンはありません。逆にルートがはっきりして安心するほどです。
ともあれ、これでこの界隈のドッケ系は完全制覇です。芋ノ木ドッケ、黒ドッケ(酉谷山)、三ツドッケ、そして今回の大ドッケと、知る限りは全部登りました。もしかしたら仙元峠もかつてはトッケだったのかも知れませんが、いずれにしろ同じ事です。
山頂らしきピークが見えて来ました。藪は気にならないものの、結構距離が有って時間が掛かりました。
9:59 大平山(おおひらやま)に到着。大きな山体の割に狭い山頂です。眺望も無いので一息入れてすぐ出発。反対側に抜けて七跳山方向へ。
そうそう、冒頭でお伝えするの忘れてましたが、今回ヤマナビ2のバッテリーを充電するの忘れてまして、出発前に何とか1つだけ4時間ほど充電しましたが、満充電には至らずここへ着く前にバッテリー切れしてしまいました。なのでルート図の軌跡は大部分が手書きです。
1600mともなると紅葉・黄葉は大分進んでます。青空の下が一番映えるので良い天気になりました。
10:09 大クビレは小広い草地です。以前見た写真では作業小屋が在った筈ですが、無くなっていました。南北に貫く道は天目山林道です。そう、これを下れば出発時に渡った川俣橋に着くのです。4時間ほど掛かる様ですが。
林道はここが終点ではありません。更に4kmほど先の赤岩ノ頭中腹まで続いています。総延長20kmの林道らしいです。
鞍部なのでそれ程景色は良くないですが、日当たりが良いので昼食休憩にしました。正露丸みたいのがそこら中に落ちているので慎重に場所を決め座り込みます。
左が蕎麦粒山、右が三ツドッケの北峰・中央峰です。
11:06 出発。
七跳山への登りは最初がキツいですが、その後は緩やかなアップダウンです。樹間に秩父の街並みやさくら湖が見え、なかなか眺めが良いです。矢岳が見えたので写真に撮りました。等倍で見ると赤岩ノ頭の山腹に天目山林道の終点が見えます。
11:41 七跳山からは七跳尾根方向と都県境沿いの二手に道が分かれています。次は三ツドッケへ向かうので都県境沿いの道へ。
それにしても、前回ここに来たのは去年の7月ですから、1年3ヶ月振りですか。月日の経つのは早いものです。
天目背稜のこの区間を歩くのは初めてです。へえ、こんな桟道も有るんだ。
12:09 速い速い、あっと言う間にハナド岩に着きました。さすがは天目背稜、まるでハイウェイを走っている気分です。
ハナド岩からの眺めです。遠方中央左が雲取山、右が芋ノ木ドッケ、雲取山すぐ手前が天祖山、目の前の大きな尾根がタワ尾根です。タワ尾根中央のトサカみたいな所がウトウの頭。
黄葉トンネル。天目背稜の自然も捨てたもんじゃないです。ただ、紅葉にはまだ少し早いでしょうか。
時間が充分に有るので、今日こそは三ツドッケ北峰に登ろうと思い向かいました。西から向かうと山頂手前に踏み跡が分岐している筈です。薄い踏み跡を見付けどんどん奥に進むと、崖みたいな斜面のトラバースになってしまいました。踏み跡でなくシカ道に入ってしまったみたいです。それでも木に掴まりながら何とか進むと、意外にも北峰と中央峰は通路の様な細尾根で繋がっていました。
12:38 ここが北峰頂上です。分かっていた事ですがやはり眺望無しですね。肝心の難度ですが普通に登れました。稲村岩を少し小さくした感じで、あちらが登れるならこっちは問題無しです。
中央峰に戻りました。天気が良いので都心のビル群まで見えます。有間山の方を見ると伐採が大分進んでいて、滝入ノ頭辺りで分かれていた伐採地がとうとう繋がっています。
20分近くのんびり景色を眺めていましたが、大日堂まで戻る事を考えたらあまりゆっくりしていられません。仙元尾根を下るだけでも2時間半掛かります。
13:06 出発。
南峰のピークはこの岩です。少し先で避難小屋方向と都県境沿いに分岐するので、七跳山同様に都県境沿いへ。
13:55 仙元峠です。モミジの紅が見事でした。奥に妙な空間が感じられたら鋭いです。ブナの巨木が在ったんですが、台風の為か倒れていました。仙元尾根への入口を塞いでしまっていて、道でない所から回り込んで行かねばなりません。
15分ほど下った所で始めて聞く動物の声を耳にしました。一斉に何かが木を揺らして逃げて行きます。目を凝らしながら、なおも下って行くと再びあの声。声の主はサルでした。ボス猿なのか見張り役なのか分かりませんが、1頭だけ群れとの間に陣取っています。こいつが出した警戒音に違いありません。
14:16 小ピーク前の小さな鞍部で作業道が分岐していました。シゴー平から仙元林道というのがこちらに向かって伸びていて、その終点から細い道がこっちの道に通じていると、どこかで読んだ覚えがあります。確証は無いですがこれがそうなんじゃないですかね。
14:26 地図に大楢と書かれた所です。道はここから稜線を離れ、長い巻き道になって行きます。白い看板には明治神宮の名で諸々の注意書きがされていました。ここは明治神宮の所有する山だったんですか。寄贈されたんでしょうけど、思いがけない名にちょっとびっくり。
15:07 また分岐が在りました。指導標には広河原と書かれています。広河原逆川林道のどこかに出られるのでしょう。
15:18 57号鉄塔で巻き道が終わり、稜線に戻りました。巻き道は東斜面なので西に傾いた太陽から光が届かず、ずっと薄暗い中を歩いて来たのでほっとします。と、同時に、ヤマナビ2が使えない為現在地が分からなかったのが、この鉄塔で知ることが出来ます。大分歩いたつもりでしたがまだ6割ほどでした。先は長いです。
15:46 58号、59号と鉄塔を過ぎ、60号鉄塔直前で道が右へ逸れます。一瞬あの薄暗い巻き道が頭をよぎりましたが、思い出して下さい。峠ノ尾根で通過した鉄塔は61号でした。そうです。いよいよ長い下りの終わりが見えて来たんです。
16:03 大日堂に着きました。川を挟んで駐車場は目の前です。