大高谷山

大高谷山(325.1m)/柏木山(303m)

大高谷山登山図

2011年12月下旬、「峠のむこうへ」というサイトで見付けた「新ハイキング354号(昭和60年4月号)」から転載の「『名栗川南岸の尾根』挿入図」に「大高谷山(高ドッケ)」の文字を見付け、早速行って来ました。県内のドッケ系は全部登ったつもりでいたので見ないふりは出来ませんから。他にも両神山系に芋掘ドッケンというのを「ドッケ」の検索で見付けましたが、あちらは春まで登る気がしません。


苅生

12:38 苅生(かろう)から堂山坂経由で登ろうと思いましたが、取り付きが全然見付かりません。たまたま居合わせた人に尋ねると、そろそろ60に手が届く頃かとお見受けしましたが堂山坂を知らない様でした。現地では忘れ去られた名の様です。地形図を差し出し指差すと思い当たる道が有った様で、親切に道順を教えてくれた上、車の止め場所も提供してくれました。

薬師堂

カーブミラーが無ければ見落としてしまう様な丁字路を右に入り、小さな橋を渡ると薬師堂が在ります。堂山坂への道はその裏から続いていました。さっき道を尋ねた人も薬師堂が在るから堂山坂なのかと、妙に納得していたみたいです。

山道

名は忘れられても生活道としては現役の様で、確りした道が続いています。

堂山坂

12:42 ここが堂山坂です。奥武蔵ではおなじみの、坂と名の付いた峠です。向こう側には飯能霊園の墓地が近くまで迫っていました。

ここを右に入り尾根伝いに登って行きますが、完璧に読図出来るか、私の様にGPSナビを持たなければ難しい所です。単純な様で実は複雑に蛇行し、10以上在る小ピーク毎に判断を迫られました。

大高谷山

13:34 大高谷山(おおたかややま)に着きました。この辺りでは当たり前の植樹林に囲まれた山頂です。唯一樹層の薄い北側も、ゴルフ場がすぐそこに在る為景観は台無しでした。三角点の隣に昨年4月に建てたという石標があります。それによると、「明治十九年ノ村誌ニ大高野山トアリ」となっています。おかしい。高ドッケについての記載が有りません。

大高谷山を下る

折角なので隣の小高谷山まで足を伸ばす事にしました。道はこれまで以上に藪っぽくなっていきます。

小高谷山

13:56 ここが小高谷山です。地形図の282m標高点ですが、ここに来たのははっきり言って無駄骨でした。大高谷山から往復で30分以上掛かりますが、とてもその価値が有るとは言えません。

沢道

来た道を戻り、大高谷山も越えて下りに掛かります。前述のサイトによれば、堂山坂側の鞍部に道が乗っ越してる筈でした。しかし、それらしい道は見られません。意を決して藪の中に飛び込みました。道路まで大した距離ではないですし、この時期なので藪も薄く、何とかなるだろうと思えたのです。半分位まで下ると写真の様に藪が無くなり、道らしくなりました。

小さな橋

14:31 鞍部から約6分で下り切りました。木材を並べただけの小さな橋が苅生川に架かっています。やはり下ってきた道は正しかった様ですね。あまり歩く人がいないので藪になってしまったのでしょう。

小岩井に越える道

このまま戻ったんではあっさりし過ぎています。東の尾根を回って戻る計画でしたので、その通り進みました。小岩井に越える道が在るので、そこを入って行きます。

配水場

14:38 配水場が見えて来ました。ここが榎坂(峠)です。現在は風情のカケラも感じられない、どこにでも在る様な舗装の峠道です。配水場の横に僅かな隙間が有り、踏み跡が続いていました。どこかに別の道が有るのかも知れませんが、探す時間が勿体無いのでここから登り始めます。通行量は相当ある様で道と言っても良い位です。ただし注意しなければならないのは、これがゴルフ場のフェンス内側を歩いているという事実です。関係者に見られたら咎められるかも知れません。

少し登った所でフェンスの金網に大きな穴が開いていて、外側に出られる様になっていました。内側の踏み跡もそのまま続いていて、暫くの間内と外で踏み跡が並行してます。しかし、やがて内側の踏み跡は掻き消えるので、最初の段階で外側に移った方が良いです。フェンスの上は鳥が止まれない様に尖っているので、乗り越えるのは一苦労です。

フェンス沿いの道

この様にフェンス沿いを延々と登って行きます。フェンス内はゴルフ場ですから、グリーンやクラブハウスが近くに見えたりして登山気分は全く味わえません。

柏木山

フェンスは柏木山(かしわぎやま)山頂ギリギリを掠め、東の尾根を更に続いています。

柏木山山頂

15:08 山頂に着きました。大高谷山と同じタイプの石標が建ってます。彫られた文字を見ると、「苅生村誌ニハ、高ドッケ山トアリ」と書かれていました。

えっ?! こっちが高ドッケだったの?! ……絶句です。まさかハイキング専門誌がそんな間違いをするとは。こっちも登っといて良かった〜。

パノラマ

それにしても中々の絶景です。このクラスの山では日和田山の眺めも良かったですが、負けてませんよ。右寄りの薄いシルエットは先日登った大山じゃあないでしょうか。


都心のビル群

都心のビル群も良く見えます。スカイツリーはやっぱり目立ちますね。


造成地

東尾根を再びフェンス沿いに下り、南に方向を変えるとやっとゴルフ場を離れます。しかし、それも束の間で、今度は一面の造成地になりました。奥多摩に行く時はいつもここと美杉台の間を通る青梅飯能線を使うのですが、こんな状態になっているとは想像出来ませんでした。とんでもない広さです。

カモシカ

前方で何かが突然逃げて行きました。少し距離を取った所で立ち止まり、じっとこちらの様子を窺っています。カモシカです。実は山で見掛ける動物(鳥類除く)の中で、鹿の次によく見るのがこいつなんです。私も5度目の遭遇なのでもう慣れっこですが、流石にこんな人里近くで出会うとは思いませんでした。

赤根ヶ峠

15:26 赤根ヶ峠(あかねがとうげ)に到着しました。現在は先の大規模造成工事の為、東側2方向の道はご覧の様に塞がれていますが、元々は六叉路だったちょっと他に無い峠です。ガードフェンスが目障りですが、それさえ目をつぶれば広い峠で中々雰囲気は良いです。消えた2方向の道は、一方は畑峠を経て下畑へ、もう一方は竜涯山へ通じていましたが、今は尾根が切られて完全に消失してしまいました。

7〜8分休んで出発です。@が柏木山から下って来た道、ABが地形図に有る苅生へ下る道、Cが上畑・下畑に向かう道ですが、Cの指導標にも苅生と書かれています。ABのどちらかで下るつもりでしたが、Cに俄然興味が湧いてきました。

馬頭尊

Cを下り始めると、すぐ先に馬頭尊が祀られていました。色鮮やかな花が供えられてます。誰かが今でも欠かさずにお参りしている様ですね。

二股道

馬頭尊から僅かの所で二股に分かれます。苅生は右です。

白い家

15:42 集落に出ました。低い尾根の中腹を緩やかに下る快適な道でした。白い家の向こうが苅生を縦断する道路です。

赤根ヶ峠入口

15:46 Aの道を下るとここに出ます。角には指導標も有りました。勿論下って来た道にも指導標は有りましたが、Bの下り口には無い為どこか分からず、それらしい道も見当たりませんでした。

車に到着したのは15:50頃です。小高谷山を止めれば3時間程度の手軽なコースでした。

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