三宝山

甲武信ヶ岳(2475m)/三宝山(2483.3m)

三宝山登山図

2011年6月初旬、毛木平から甲武信ヶ岳・三宝山を経て十文字峠から下る定番コースへ行って来ました。雁坂嶺の項でお伝えした通り、近々雁坂嶺から木賊山までの縦走を考えているのですが、そのコースには木賊山巻き道から甲武信ヶ岳への往復も含んでいます。そうなるとかつての三方山主峰である三宝山が取り残されてしまうので、その前に登頂を果たしておこうと急に思い立ち、突如登る事を決定しました。


登山口

6:11 出発は毛木平の毛木場駐車場からです。収容台数60台の大きな駐車場ですが、到着した6時頃には既に満車状態で、通路の広い部分や駐車場外側の空き地も埋まり始めていました。それぞれが駐車場所の確保に四苦八苦している中、私も例外ではなく、ラインからはみ出た所に駐車を余儀無くされました。前日からの小屋泊も居るでしょうが、百名山ともなると6時でも遅い様です。

駐車場奥の車止めゲートから山に入って行きます。数分で十文字道を分け、暫くは林道歩きです。この日は夏日予報でしたが、出発時の気温は4℃でシャツ1枚では寒い位でした。念の為用意したライトジャケットを着て凌ぎましたが、沢沿いの道は思ったより気温が低く、体が温まっても脱ぐ程には暑くなりませんでした。

山道

20分程で林道区間は終わり、いよいよ山道に突入です。沢沿いの為この様なガレ場が多く、足元ばかり見てしまいなかなか周りに目が行きません。

ナメ滝

7:29 ナメ滝です。長い渓流区間のほぼ中間点で、唯一の目印になる所です。コース案内図だと地形図の1783m地点になってますが、写真の時刻とログデータを照らし合わせると、もっと先の1900m圏でした。5分程の軽い休憩をして出発。

登山道

流れが細くなると右岸左岸を何度か渡り返しながら進む事になります。時々道が付け替えられている様で、渡らない橋も有りますから指導標はよく見て進んだ方が良いです。

水源地標

8:31 水源地標です。ここから幾つもの流れを合わせ、千曲川、更に日本一長い信濃川へと名を変えて日本海に流れ込む長大な川の源頭です。道はこの後急斜面を登り、主脈稜線上の道へと合流していきます。10分程休憩して出発。

縦走路

8:56 縦走路に合流しました。ここから山頂直下の登りが始まるまでは暫く楽が出来ます。右へ行くと国師ヶ岳、金峰山です。

富士山

途中の道から外れた所に1箇所岩場が有り、数人のグループが談笑する声に誘われ行ってみると雲海に浮かぶ富士山が見えました。晴れているとは言え梅雨入りしてますから眺望は諦めていたのですが、予想外の透明度に驚きました。

パノラマ1

山頂間近になると殆んど周りに木が無くなり、大展望が待ち構えています。眼前の木賊山から背後の三宝山まで180度以上見渡せます。実は最近パノラマ撮影が楽なNEX-5を購入しまして、今回から使い始めています。今までは合成していたのですが、これだとカメラ任せなので楽チンです。シアンが強くて好みの色ではないですが、まあ、許容範囲でしょう。


パノラマ2

左の山塊は北奥千丈岳と国師ヶ岳です。右は朝日岳と金峰山。中央の鞍部は大弛峠で、奥には南アルプスが見えています。右端には僅かに中央アルプスが見えます。更に八ヶ岳、浅間山と続くのですが、写真は失敗しちゃいました。


甲武信ヶ岳山頂

9:21 山頂は人・人・人でごった返していました。駐車場の状態を見ればこれでも少ないくらいか。何しろ最低でも60人は登っているんですから…

陽の当たる山頂でようやくジャケットを脱ぐ気温になりました。周りでも半数は脱ぎ始めています。

三宝山

北を見ると三宝山が間近にどっしりと構えています。ここより僅かに標高の高い山です。山頂の眺望は無い山ですが、三宝岩が代わりを果たし眺望の点でも引けを取りません。

9:43 下山開始。次はこの三宝山に向かいますが、その前に「荒川水源の碑」というのが甲武信小屋近くに有るそうなので、行ってみる事にしました。三宝山とは逆方向に下って行きます。

パノラマ3

1〜2分で岩場の下りになり、またもや視界が大きく開けました。雁坂嶺や破風山には雲が掛かっていましたが、木賊山から八ヶ岳までは綺麗に見渡せます。


甲武信小屋

9:56 甲武信小屋です。荒川水源の碑がなかなか見付からないので小屋の管理人さんに聞いてみると、「荒川水源ですか?水源の碑ですか?」と、逆に聞き返されました。続けざまに「水源ならここを下って15分位、水源の碑ならすぐそこですよ」と、小屋の裏手を指差して言います。写真の指導標右側は水源の碑となっているのですが、指している方向はまるで違っていました。三宝山へ向かう巻き道が鹿除けネットのドアから続くのですが、水源の碑はその近くに在ります。

しかし、水源まで15分ですか…往復だと帰りは登りなので40分位でしょう。かなりそそられましたが、この先から十文字峠まではアップダウンの激しい難コースです。体力を出来るだけ温存しときたいので水源の碑で我慢しました。そもそもここへ来たのも寄り道なので、寄り道の寄り道では時間が掛かり過ぎてしまいます。帰宅後に調べたら荒川源流点の石柱が在るらしく、管理人さんが言っていた水源とはそこの事だった様です。

巻き道

巻き道はほぼ一定の傾斜で緩やかに登っていました。所々に残った雪の山を乗り越えて行く時、1度踏み抜いてしまったら膝上まで潜りました。積雪期の状態が窺い知れます。

10:13 縦走路まで10分ほどでした。この合流点は地形図だと柳小屋への分岐になっていますが、現在は廃道みたいです。「真ノ沢林道」でググると幾つかヒットするので最近の様子が分かります。

三宝山山頂

10:38 三宝山に着いてしまいました。三宝岩に寄るつもりだったんですが、分岐を見落とした様です。広い山頂は人の疎らな感じが余計に目立ち、甲武信ヶ岳との差を感じてしまいます。

一等三角点

標高2483.3mの一等三角点。長野県との県境ですが、ここが埼玉県で1番高い場所です。しかし、そうとは感じない寂しい山頂でした。

冒頭でも少し触れましたが、本来この三宝山・甲武信ヶ岳・木賊山の3山は三方山という1つの山でした。標高が1番高いここは勿論主峰であり、三方山の山頂だった筈です。明治になってそれぞれのピークに名前が付けられ、別個の山として分けられました。

埼玉県最高峰にしてこの山名標識は有り得ないでしょう。甲武信ヶ岳とはえらい違いです。日本アルプスを有する長野県にとっては、こんな県境のちっぽけな山は見向きもしない所でしょうから、ここはひとつ埼玉県がどーんと立派なやつを立ててやったらどうでしょう。

甲武信ヶ岳

50mほど戻り、三宝岩で昼食休憩にしました。甲武信ヶ岳を見るといつの間にか雲が掛かっています。大きな雲ではないのですぐに晴れるでしょうが。

12:06 出発。また1時間以上眠ってしまいました。

登山道

この辺りはシラビソが多く、寿命の短い木なので細い木ばかりですが、この一角は別の木だった様です。細く低いシラビソに慣れた目には新鮮に映りました。天井の高い回廊を行く気分です。

尻岩

12:47 三宝山を下り切った鞍部に尻岩が有ります。見たまんまのネーミング。

鎖場

p2288の登りで本日初の鎖場です。この先のピークを越えてからの下りと、大山からの下りの計3箇所に鎖場が有りました。

武信白岩山

下りの鎖場から見た武信白岩山。コース案内図ではここ(撮影位置 2288m峰)が武信白岩山になってますが、向こうが本物です。頂上には標柱みたいな物が見えます。「あんな所登んのかよー」と思っていたのですが、道は西を巻いていました。昔は登れたみたいですが、今は禁止になってます。

大山

続いて見えて来たのが大山(2225m)です。こちらは頂上まで登りますが、武信白岩山ほどの急稜ではないのでご安心を。ただ、下りの十文字峠側には2段の鎖場が待ち構えています。

大山からの眺め

13:57 大山からの眺めです。毛木平の畑が白いビニールで雪の様に見えます。

十文字峠

14:27 十文字峠に到着。十文字小屋の周りには石楠花が沢山咲いてました。

小屋の前に分岐があり、「カモシカ展望台 0.5km」となっていました。ちょっと興味が有りますが、大分疲れが溜まっていたので躊躇していると、別の所に「展望台まで100歩」と書かれた道標が有り、背中を押された気がしました。

緩い下りを4分ほど行くと分岐になっていました。直進は水場となっていたので左へ折れると、丸太で組んだ台が在り、上ると石楠花の群生地が見渡せました。この時はてっきりここがカモシカ展望台だと思っていたのですが、後になって乙女の森という石楠花の保護区だと知りました。

確かに展望台という名は相応しくない所です。だって景色はこれっぽっちも望めない森なんですから。展望台は水場の方へ15分も歩いた所に在るそうです。

石楠花

花を撮るなら曇天じゃないと駄目ですね。奥の明るい所にも沢山咲いているんですが全然写りません。

小屋の人が様子を見に来ていたので少し話をしたら、赤やピンクの花が咲いているここの石楠花はアズマシャクナゲという種類で、実は開花直後は全部赤なんだそうです。時間が経つにつれ色が落ち、最後は白くなって散るらしいです。

十文字道

峠を後にして十文字道を下って行きます。白泰山で歩いたあの道の続きを歩いている事になりますが、そう考えると感慨深いものがあります。

地形図だと別に東沢沿いのルートが有りますが、現在は廃道の様です。カモシカ新道と言うそうなので、カモシカ展望台はそこから取った名前なのでしょう。

五里観音

15:43 五里観音です。何故か一里観音になってますね。こちら側から数えれば一里という事でしょうか。でも、少し前の写真では五里になってましたが。

分岐

朝分かれた分岐に戻って来ました。ここまで来れば駐車場はすぐそこです。

駐車場

15:58 駐車場に到着です。満車以上だった車が半分になっていました。

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