芋掘りドッケンの回で行った倉明山、茂萩山に再訪しました。前回は脚攣りの為全く楽しめなかったのですが、山自体は非常に歩き甲斐の有る所です。特に茂萩山の登りは険しい岩場なだけに達成感が有り、万全の体制で再び臨みたいと考えていました。そんな時に今回のコースをネットで見付けたのです。これは行くっきゃないでしょう。倉明山への登りは「生活の柄(がら)」さん、茂萩山からの下りは「お山歩日記」さんを、それぞれ参考にさせて頂きました。有り難うございました。
前回同様、道の駅大滝温泉に車を止め、バスで移動です。滝沢園地に1番近い停留所を運転手さんに尋ねたところ、希望の場所で降車させてくれるとの事でした。"特別に"という訳ではなく、そういうシステムみたいです。「滝沢園地」と伝えましたが、分からない様で「滝沢ダムですか?」と聞き返されました。説明が面倒なので「はい」と答え、そこで降ろしてもらいました。
7:53 入口に到着。数分歩きましたが、まあ、大したロスではありません。
坂道を登って行くと、サルの群が逃げて行くのが見えました。その群を追う様に右に折れ、滝沢園地の奥深くへ入って行きます。
案内板の地図です。白矢印の経路で進みました。ここはダム建設により移転した滝ノ沢集落の跡地で、今はこの様に滝ノ沢望郷広場として整備されています。
龍泉寺跡に向かって歩いていると、前方で数頭の鹿が逃げて行きました。先程のサルといい、人の居ない時は野生動物の楽園と化しているみたいです。
案内板の地図に鳥居マークが描かれていたので寄ってみました。集落と共に移転したみたいで更地になってます。龍泉寺跡の案内板に、「寺横の天神様にあった湧水池で…云々」と書かれていたので天神社が在ったのでしょう。
龍泉寺跡です。大久保地区へ移転したと書かれていました。
水くみ場です。かつては集落の生活用水として使われてましたが、今は飲み水として適していないとの事。水質分析結果を見ると、問題なのは大腸菌だけみたいです。少しの時間にサルと鹿の群に遭遇した事からも分かる通り、人の姿が消えた事でこの辺まで野生動物が進出して来た結果でしょう。
ここは十字路になってますが、遊歩道として整備されているのは右の道だけです。特に規制されていなかったので直進しました。この先に稲荷神社跡と神楽殿跡が在るんです。
僅かに進んだ所で道は崩壊してました。ここからは歩き易そうな所を適当に進み、尾根に乗り上げます。
倉明山の方に向かって行くと、こちらにも何かの神社が在りました。祠が三つ並んでますが、中身は空っぽです。
窪んだ道形が確り残っています。落ち葉が積もって登るには効率が悪い為、外を歩きましたが。
尾根から外れて行く踏み跡が在りました。この先の950m圏でコブを越えますから、鞍部までの巻き道に違いないと思い込み、そちらに入りました。ところが、鞍部の直下を過ぎても踏み跡は更に東へ向かってしまいます。仕方なく道の無い斜面を50mばかり登りました。
9:16 何とか尾根道に復帰しました。思い込みで行き先不明の踏み跡に入ってはいけません。堅実に尾根を辿るのが良いです。疲れたので休憩にしました。西の空に芋掘りドッケンと烏頭山が聳えて見えます。
9:23 出発。
980m圏でもう1つコブを越えると、いよいよ本格的な急登区間に突入します。初めは「あれっ、こんなもん?」という感じだったのですが、岩っぽくなつた所から急激に斜度が増しました。高ドアへの登りを思い出します。
急登の終わりが見えてきた頃、猪に遭遇しました。根っこを食べているのか、落ちたドングリを拾い食いしてるのか、何やら一心不乱に地面を掘り返しています。近付いたら逃げて行きましたが、辺り一面掘り返されていました。
1250m辺りの岩場ではカモシカにも会いました。置物の様にじっとしていたので写真が撮り易かったです。この後岩を左へ巻いたのでこれ以上近付きませんでしたが、見えなくなるまでずっとそこに佇んでいました。
10:30 倉明山山頂です。約3ヶ月振りですが、山名板は無くならずに残っていました。腰を下ろして休憩にします。
10:48 出発。
記憶とは当てにならないもので、たった3ヶ月前に歩いているにも拘らず、間違えて芋掘りドッケンの方へ向かってしまいました。暫く行った所で落ち葉を踏み散らす音に気付き、そちらを注視していると2頭の猪がやって来ました。
熊かと思って一瞬凍り付きましたが、色が茶色く見えたのでカモシカか猪だろうと分かり、ほっと一息。この時何気なく見たナビで方向違いに気付きました。
倉明山の入口まで引き返して、今度は慎重に方向を確かめながら東へ下ります。暫く順調に歩いていると、再び猪が騒がしく鳴き立てながら近付いて来ました。藪で見えませんが、今度のは4〜5頭居そうな感じです。突進されたら敵わないのでその場で立ち止まり、黙って遠ざかるのを待ちました。
静かになったので歩き出すと、前方の藪から低い声を発して何かが逃げて行きました。姿は見えませんでしたが、明らかに猪とは違う声です。「まさかなー」と思いながらも、疑いの晴らし様がありません。
11:48 原石山への尾根分岐です。茂萩山へと続く尾根は急下りなので、間違えて原石山に下らぬ様注意が必要です。「山火事・事故に注意」の看板が目印です。
数分歩いた所で大型動物が20mほど先の木の陰から飛び出し、進行方向のコブを越えて逃げて行きました。今度ははっきりその姿を確認出来ました。真っ黒な体毛、独特の走り方、間違いありません。熊です。
それにしても、進行方向に逃げたのは厄介です。リュックに付けていた熊鈴を取り外して手に持ち、激しく振りながらゆっくり歩きました。そして、やはり数分後に再びその熊と対面する事になったのです。
あまり人が立ち入らない為か、どうも熊鈴と人間が結び付いていない様です。今回も20m位に近付いた所で藪から飛び出し、一目散に逃げて行きました。勿論こちらはそこに熊が居たなんて気付いてません。幸い今度は直線の尾根で、行き先を目で追う事が出来ました。10m位尾根を駆けて行った後、方向転換して谷底へ下りて行きました。3度目にしてようやく尾根道を離れてくれたのです。
煤川峠には大正期の古い道標が在り、前回は見落としたので今回こそはと思っていました。しかし、この様な事情でまたもや発見出来ずに終わりました。乗っ越す道は完全に消失しており、峠の位置が特定し辛いのです。熊に怯えながらじっくり探すなんて事出来ません。
茂萩山に近付くと岩が多くなり、練習台の様な岩峰を2つ越えます。
12:39 立ちはだかる大きな岩から、いよいよ本格的な岩登りが始まります。雨が降って来てしまったので危険度は倍増です。先ず、手前の岩を右から巻いて登り、奥に見える岩は逆に左からです。
振り返ると辿って来た尾根筋が一望でした。原石山の山肌に林道が見えますが、あの道を使って下りる事は出来ないそうです。途中にトンネルが在って、現在は鍵が掛かってるため通過出来ません。
足の踏み場も無いほど咲いている所が在りました。何と言う花でしょう?
再び大きな岩に突き当たります。同じ様に右から巻き気味に登り、その後はひたすら左を巻いて行きます。
13:06 茂萩山に登り着きました。雨の中ながら、前回の半分の時間で登り終えました。やっぱり、この岩場を登ってこその茂萩山ですね。楽しい。
1時を回っている事に気付きびっくり。まだ12時頃かと思ってました。雨降りの中で湯を沸かす気になれず、おにぎりのみの昼食となりました。
13:33 出発。
ツキノワグマの縄張りは平均で50平方km位らしいです。本来なら滅多に出会わない筈ですし、今回の様にたまたま出会っても、それが別方向に逃げて行ったのなら他に居る筈がありません。しかし、恐怖心はなかなか拭えないものです。もしその辺に潜んでいたらと思うと、いつもの様な速度で歩けません。
13:59 御岳山へと続く尾根から外れ、p964経由で栗尾沢に下ります。
こちらの尾根に入っても、熊の物と思しき糞が見られます。数回手を叩いて大きな音を立てると、カモシカが跳び上がって走り去りました。向こうも驚いたでしょうが、こっちだって全身総毛立つ程の驚きです。兎も角、これは有効そうなのでその後も数十m毎に続けました。
少し歩くとこの岩場になります。ここは右に踏み跡が巻いているのでそちらを歩いた方が良いでしょう。予想外に長いですから。
p964の南東尾根に入ると、はっきりとした踏み跡が現れました。辺りも植林地に変わり、ほっと一息です。餌になる物が無ければ、熊も居る筈が無いですからね。
しかしこの後、急下りになると踏み跡ははっきりしなくなり、見失ってしまいました。「お山歩日記」のルート図を見ると、p964から真っ直ぐ東へ向かっています。どうやら違う尾根に入ってしまったみたいです。
15:18 結局、最後はこんな所を滑り降りる様にして栗尾沢に下り立ちました。沢岸の100mは斜度が50度位有りそうですから、まともな神経なら下りない筈です。引くに引けない所まで行ってしまったので下り切りましたが、危ないので真似しないで下さい。
尚、GPSナビのバッテリーが途中で切れてしまった為、後半の軌跡は手書きしました。正確ではないので悪しからず。
15:43 滝の横を通って堰堤に下ります。泥だらけになった手をここで洗いました。背後は浄水場になっていて、その先から舗装路に変わります。
15:52 140号線が見えました。残り僅かです。それにしても、今回ほど様々な動物に出会ったのは初めての事です。猪なんて今まで見た事が無かったですからね。やはり冬に備えて活発に動いているんでしょうか。
道の駅到着は16:01 でした。