和名倉山(2036m)
2010年9月初旬、遂に和名倉山登頂を果たしました。ここは山頂が他県に接しない山としては埼玉の最高峰です。一般登山道としては山梨県側から牛王院平、東仙波と経て登る道しか無く、日帰りは無理な山だと思っていたのですが、色々な登山記を見ている内に埼玉県側にも二瀬尾根、ヒルメシ尾根、仁田小屋尾根の3ルートが存在すると分かりました。中でも今回登った仁田小屋尾根ルートが最短コースと思われます。
上記の様な理由からか、国土地理院の地図では山梨県側の呼び名である白石山と書かれています。しかし、ここは純然たる埼玉の山ですから埼玉県側の和名倉山が相応しいのではないでしょうか。写真は秩父御岳山から見た和名倉山。中央やや左のドームみたいな出っ張りが山頂で、そこから左に伸びているのはナシ尾根です。残念ながら仁田小屋尾根は殆んど見えませんが、松葉沢ノ頭辺りがナシ尾根の上に別の山みたいに見えています。
大洞林道を奥まで進み、荒沢橋をを渡ると未舗装になります。次の大洞橋までの短い区間に平坦な広場と車止めのゲートがあるのでそこに車を止めて行きます。7:42 開始。今回は距離、標高差ともに未経験なのでいつもよりペースを落とし、ゆっくり目に歩きました。
7:55 しばらく林道を歩いて行き、山側斜面にふれあいの森林と書かれた看板がぽつんと立っている所に来たら旧登山口です。少し前まではここに梯子が掛けられ、ここから登り始めていました。今でもネットで見る登山口の写真は殆んどがここです。現在使われている登山口はもう少し先に有ります。
7:57 ここが現在の登山口です。砂の浮いたザレた道で、その上勾配が急なので登り難いです。踏み出した足に体重を掛けた瞬間10cm位ズルッと滑る事も度々。
つづら折の登りから尾根道に変わり、しばらく行くと鹿避けのネットが塞ぎます。ビニールロープを解き支柱の1本を動かして中に入り、再び結んで先に進みます。
8:35 再びネットの外に出て、少し歩けば仁田小屋です。避難小屋ではなく林業従事者の宿泊施設みたいで、中は畳張りの部屋で快適そうでしたが、鍵が掛かっていて一般には使えません。ここで10分休憩。
辺りの木が杉から檜に変わるとすぐに植林地は終わり、ブナやナラなどの広葉樹林に変わります。同時にスズタケも現れますが、広く刈り払ってあるし殆んどが枯れていて邪魔にはなりません。途中で変わった伸び方をする木をくぐります。
9:29 イヌブナ平と呼ばれる所だと思います。1つの根から4本の幹が伸びている木が目印と書いてあったので間違い無いでしょう。地図を引っ張り出し、休憩しながら位置の確認。出発から2時間近くになるのに殆んど進んでいません。たどり着けるか不安になってきました。9:42出発。
仁田小屋ノ頭から松葉沢ノ頭まではスズタケの密生地です。藪に入って暫くは先程の熊のものと思われる糞が幾つも落ちていました。縄張りの事を考えればもう他にいるはずは無いのですが、見通しの利かない所を歩くのはやはり恐ろしく、鳥などが出す小さな物音でも過剰に反応してしまいます。
スズタケの藪を抜けると景色は一変します。一面唐松の林になり一気に高山らしくなりました。この先にもスズタケは少し有りますが、もう笹ビンタを喰らう程の勢いは有りません。
11:02 唐松林の平坦地を西の外れまで行くと松葉沢の頭です。ここから進路を北向きに変え一旦下ります。
11:22 松葉沢ノ頭から鞍部を過ぎ、同じ位登り返した所がp1780です。鞍部には噂のブルーシートに包まれた謎の荷物がまだ有りました。p1780には建造物の残骸らしき物とワイヤーが散らばっています。登山口から山頂まで4時間位と読み、山頂には12時頃に着くと思っていたのですが、この辺りで無理と感じて来ました。10分休憩して出発。
ナシ尾根分岐前の斜面は山火事跡らしいのですが、今はダケカンバの林に変わっています。植えたのか勝手に育ったのか分かりませんが、既に幼木とは呼べない大きさに育っています。ここを登っている時にふくらはぎに違和感が生じました。どうやらこの辺りが自分の限界の様で、足が攣る1歩手前の感じです。不安と興奮で一睡も出来なかったのも原因でしょう。丁度昼なので昼食休憩をしながらこの先どうするか考えました。
休憩したら足の状態が少し回復したので山頂を目指す事にしました。このコースで唯一と言える展望良地がここに存在します。写真は中央が雲取山、左が芋ノ木ドツケ、右が三ツ山です。雲取山と芋ノ木ドツケの間に少し頭が出ているのは鷹ノ巣山らしいです。通過して来た松葉沢ノ頭も林の向こうに見えます。
12:35 ナシ尾根分岐です。ここまで騙し騙し来ましたが、足の状態は相変わらずでゆっくりしか歩けません。ここからは殆んど登らないので楽なのですが、代わりに倒木が多いのでやはり攣ってしまう可能性が有り、スピードを上げられません。
13:00 山頂に到着。登山口から5時間掛かりました。いつものペースで歩けたとしても30分位しか変わらないと思うので、4時間は無理でしたね。ここを登るような人はやはりある程度レベルが高い人なので、コースタイムは割増して考えた方が良さそうです。山頂は思っていたより明るく、展望は無いもののイメージしていた薄暗いものではありませんでした。
しつこいほど山名表示が並びますが、白石山と書かれた物は有りませんでした。登山者の間でも和名倉山が一般的に使われているので、白石山の名が消える日も有るかも知れません。仁田小屋登山口を示す矢印は方向ではなく出口を指しているので間違えない様に。下りに掛かる時間が読めないので、13:11早々に下山開始。
15:39 仁田小屋に到着。小屋の裏はウッドデッキになっていて、雲取山が良く見えます。15分の休憩後出発。
16:24 登山口に到着。仁田小屋沢の冷たい水を浴びるようにして顔や首筋を洗うと生き返った気分になりました。下山口に沢が有るのは良いもんです。