2011年4月中旬、倉沢林道の入口に車を止め、橋の袂まで突き出した尾根から登り始めました。倉沢のヒノキを見て、更にそのまま地形図に有る横篶山までの道を探るのが目的です。その後はヨコスズ尾根で一杯水へ、続いて天目背稜を通り鳥屋戸(とやど)尾根、神庭(かにわ)尾根を経て倉沢橋に戻ります。
7:40 このカーブを曲がった所にバリケードが置かれ、車両の進入を規制しています。道幅か広がっているので、仲間内という前提で思いっきり詰めれば3台位止められそうです。
鳥屋戸尾根はこの前下ったので今回は登りに使いたかったのですが、どうも先人達によると地形図の倉沢〜横篶山ルートは廃道で道が消えている所も多いらしく、いきなり下りに使うのは危険と判断し、こちらから登る事にしました。
駐車場所から下山口を見るとこんな感じです。実はこの前、下山が思ったより早かったので時間が余り、30分位ここから登ってみました。一見登れそうもない急斜面ですが、以外に手掛かり足掛かりが豊富で難しくありません。
ただ、いきなり下りではルート取りに迷うかも知れません。防護ネットの所に行ってしまうと下りられないし危険です。出発前に途中まででも登っておく事を勧めます。
倉沢橋から100m位日原方向に行くと、この階段が在ります。入口に「倉沢のヒノキ」と書かれた指導標が有るのですぐ分かる筈です。階段を登って行くとミツバツツジが所々で色鮮やかに咲き始めていて、今年も春がやって来たんだと実感出来ました。
階段から山腹の九十九折れに変わり、僅かな登りで尾根上に達しました。ベンチが2つ置かれています。そこから倉沢のヒノキまでは尾根道です。緩やかな登りを行くと間もなく着きました。思ったより近いです。
7:56 確かに檜としては相当大きな木です。幹周り6.3mと言うと越沢稲荷の大杉より太いですね。あちらは6.05mでしたから。
檜は杉に比べると成長が遅いそうで、30年物の杉と同じ太さになるには50年掛かるとか。あちらよりもかなり古い木である事は確かです。
滝入ノ峰から伸びるこの尾根を見通(みとおし)尾根と言い、登って来た尾根道がこの先にも続いています。そのまま登り続けてもヨコスズ尾根の登山道に通じているみたいですが、今回の目的は地形図のルートを歩く事がですから、倉沢集落跡に向かいます
東側のやや下り気味に続くトラバース道を行くと2〜3分で集落跡に着きました。最近まで人が住んでいたと言う最下段の家はまだ生活の匂いが残っていて、荒れた様子も無く佇んでいます。しかし、形として残っているのはその家だけで、あとは取り壊され基礎を残すだけの無人の集落です。
ここから更に道が伸び幕岩尾根に通じている筈ですが、情報が少なすぎて道が分かりません。取り敢えず来た道の延長を奥まで行ってみると、鳥居だけ残された神社跡で突き当たっていました。
元の場所に引き返し、今度は階段を登って行きます。2つ目の階段近くに赤い矢印の書かれた木が有りました。情報収集の為に訪れたページで見た覚えが有ります。確か石垣などにも矢印が有る筈でしたが、今は消えてしまったみたいです。
幾つか続く階段を行ける所まで行って、集落跡の1番上まで登ってみましたが、そこにも道は見当たりませんでした。中段辺りに戻り、横に通る通路から東の外れにピンクのリボンが結ばれた木が見えたので行ってみると、山の中にも点々と続いている様でした。うろうろ探し回っているうちに、結局集落跡からの脱出に30分近く掛かっています。
それにしても大きな集落跡です。階段の両脇に1軒ずつだとしても10軒以上、今も家が残っている所に数軒、更に神社へ続く道にも数軒分の空き地が有りました。部落と言うより村ですね。
リボンを辿って行くと道の名残りの様な踏み跡になりましたが、すぐに見失ってしまいました。そのままリボンを追っていくとやがてとんでもない傾斜を登り始めたので、無視して適当に登り易い所を登って行ったら道形のしっかり残った地形になりました。どうやら地形図の道に乗った様です。
8:48 暫く歩きやすいトラバース道でしたが、下に山葵田が見えて来ると倒木が何重にも重なり、行く手を塞ぎました。上にも下にも逃げ道は無いのでそこを通過するしかありません。苦労して通過するとすぐに涸れ沢でした。山葵田からは水音が聞こえて来るので伏流水なのでしょう。
20分程で2つ目の涸れ沢を渡りますが、その先が崩落地で道は途切れてしまいます。斜面にへばり付きながら道が続くと思われる方向に進むとリボンが出迎えました。この先はハッキリした道が残っておらず、時々現れては掻き消える感じでビニールテープやリボンの目印が頼りです。やはり思った通り、最初に下りで使うのは危険極まりないです。登りなら道なんて無くたって何とかなるものですが。
写真は滝入ノ峰かなと思って撮ったものですが、見て欲しいのはそこではなく地面の傾斜です。45度位ありますね。つまり勾配率100%です。こんな所を登って行くので相当疲れます。
9:45 支尾根に乗り上げるとモミ(と思う)の巨木が在りました。モミはツガより成長が早いので大きく成り易いそうです。直径が1mを裕に超え、間違いなく今まで見た中で最大のモミです。ただ、残念な事に幹が途中で折れ、高さはそれ程でもありません。周りの若木より少し高い程度です。折れる前に見てみたかったなあ。
10:22 白い岩が見えてくると本尾根合流は近いです。あまりにも長い急坂で体力を使い果たしました。道というか踏み後は何となく続いているんですが、殆んど通る人がいないんで消えかかっています。急な斜面そのままなんで足首の負担がハンパなく、一気に登る事は出来ませんでした。
この日は暖かかったためか例の羽虫がやたら多く、喘いでいる所に目や耳を目掛けて飛び込んで来るもんだからイライラが募って大変でした。もうそんな季節なんですね。
稜線に辿り着いたのは10:36です。休み休みですが、モミの巨木から50分も掛かってしまいました。そこからの登りはご覧の様に大した事無いんですが、乳酸が溜まりまくった足は重くて思う様に進めません。
10:54 横篶山です。尾根の名はこの山から取られたのでしょうが、そんな事は全く感じさせないひっそりとした山頂でした。三ツドッケに登る場合、日原から登り始められるのでこのヨコスズ尾根を使う人が最も多いと思いますが、登山道はすぐ西側を巻いているのでここは通りません。
折角ここまで来たのだから滝入ノ峰にも寄ろうと思い南に向かいました。前方に見えている山がそうなのかと思っていましたが…甘かった。その3倍は離れています。
地図を見ると、日原を登って来た道は滝入ノ峰の中腹を巻き、だいぶ先で稜線に出ています。つまり、この山に立ち寄るにはかなりの距離を折り返さなければなりません。手前から稜線に分かれる踏み跡位有るでしょうが、何れにしろ立ち寄る人は稀だと思います。
11:17 滝入ノ峰(1310.0m)に到着。道が巻き始めた所から踏み跡に入りましたが、地形図の様に単純な形ではなく、幾つものピークが連なりなかなか辿り着けませんでした。目の前のピークに登り着くと前方に更に高いピークが出現し…の連続です。幕岩尾根の登りで足を使い果たしているのでヘロヘロになりながらの到着でした。
12:10 来た道を引き返し、続いて一杯水避難小屋に到着。ここで昼食休憩です。外の方が気持ち良いのですが、虫が煩いので中で休憩しました。食後は靴を脱いで床に寝転んでいましたが、いつの間にか眠ってしまった様です。人の気配に目を覚ますと誰かが出て行く所でした。時刻は1時になろうとしています。
荷物をリュックに詰め表のベンチで再び休憩です。実はもう1つ三ツドッケ北峰に登りたいという目的が有ったんですが、休憩しながら検討した結果、今回は見送る事にしました。13:11出発。
途中で見えた北峰です。倉沢集落跡と幕岩尾根の登りで時間を取られ、予想より大分遅れてしまったので仕方ありませんが、今度来るのはいつになる事か…
13:36 棒杭尾根分岐です。ここを下ると入口に駐車したあの林道倉沢線に繋がります。興味ある道なんですが、林道区間が川乗橋〜細倉橋以上に長くなるんでなかなか歩く気になれません。
14:00 蕎麦粒山には登らず巻き道を行きました。ここが踊平から始まる巻き道の一方の端です。
この道は初めてですが、天目背稜そのままが延長した様な感じで別の道に入った気がしません。ただ、時々道が崩れ細くなっている所が有り、整備の点で差を感じます。
14:12 鳥屋戸尾根の分岐に着きました。この先は暫くの間前回と同じなので割愛します。
15:02 この前撮り忘れた松岩ノ頭。道から5m位外れています。
15:28 笙ノ岩山を少し過ぎた所で神庭尾根が分かれます。間違って迷い込まない様、手作り標識が目立つ所にぶら下がっていました。
下を見下ろすと道とは思えない傾斜です。この前階段の方へ下った隣の尾根に雰囲気が似てます。ずっとこんな感じですから覚悟して下さい。
この尾根にも伐り残された大木が幾つか存在します。後ろの幼木の中に次の世代が育っており、葉をじっくり観察出来ました。モミだったのでこの木も含め、幾つか見られる大木は全部モミだと思います。
ところで、ここを歩いて以前からずっと気になっていた香りの正体が分かりました。大霧山で気付いて以来、今頃になると時々香って来る良い匂いです。アセビの花でした。鼻を近付けて嗅いでも鈴生りの花の内1つ2つから微かに感じられるだけでしたが、間違いなくあの香りです。
この先はバッテリー切れで写真が有りません。p925は唯一登り返しになっているので特定し易いです。その先の○印で分かれる尾根はどちらも似た様な尾根で、地形図が無ければ判断に迷う所です。いずれにしろバリエーションルートを歩くのに地形図は欠かせませんから、自分で確認しながら下りて下さい。
橋の方へ向かうと最後は強引に下りる事になり、高所恐怖症の者には少々怖いです。桜平バス停近くに神庭尾根の登山口が在り、そんなに遠くないですからそちらを使えば無理なく下りられます。倉沢橋に着いたのは16:58でした。