川苔山

赤久奈山(923.6m)/川苔山(1363.3m)/本仁田山(1224.5m)

川苔山登山図

2011年1月上旬、本年度最初の山は川苔山です。この山も奥多摩を代表する山であり、登山コースは何通りか存在しますが、駐車場の事を考えると限られてしまいます。本仁田山もついでに登ってしまおうと思い鳩ノ巣駅を基点にしましたが、そうなるとぽつんと取り残されてしまう赤久奈山(あかぐなやま)も気になってしまい、ここだけ残った場合わざわざこの山だけ登る気になれないので、3座纏めて登る事にしました。


登山口

町営鳩ノ巣駐車場(無料)に車を止めて、7:11分発の電車で古里駅へ移動。初めて青梅線に乗りましたが、ここって自分でドアを開けるんですね。びっくりしました。古里駅に着いても無人駅なので切符をどうすれば良いのか分からず、暫くウロウロしていると親切な方が教えてくれました。回収箱が設置してあるのですが、小さい箱だし説明書きも無いので初めての者は分かりませんよ、JRの人。

7:32 ここが登山口です。他にズマド山を登る道も有る様ですが、荒れていて使う人は少ないみたいです。

登山道

ズマド山の西を巻くトラバース道は5〜6箇所崩落していました。下から崩れているのではなく、上からの土砂で埋まっている感じです。それ程危険は感じませんでしたが、落ち葉に埋もれているので滑り易そうに見え少し緊張しました。

三戸山へ登る

稜線に出た所で川井からの道と合流します。少し進んだ所で道は三戸山を東に巻くのですが、そのまま直進して三戸山へ登る人が多いらしく、濃い踏み跡が続いていました。私も三戸山へ立ち寄ったのですが、地形図を見ると東の稜線を登った方が楽そうに思えたので、そちらから登る事にしました。

東尾根をカーブしながら乗越す所で道を外れ、山頂まで直登しました。落ち葉が積もっているので半歩ずつずり落ちながら登る感じになってしまい、結構きつい登りです。

三戸山

8:32 山頂に到着。手作りの山名板が地面に置いてあるだけの狭い山頂でした。

登って来た東の稜線を選んだのは失敗でした。山頂からそれぞれを見比べると、明らかに南の稜線が緩いです。もし登るなら、しっかりと踏み固められた南からです。

赤久奈山登り

続いての山は赤久奈山です。赤杭山(読み同じ)とも書きますが、どちらが正式なのかは分かりません。国土地理院の地図と山頂の山名板は赤久奈山ですが、東京都が立てた道標は全て赤杭山でした。曲ヶ谷ノ峰から続くこの尾根を赤杭尾根(あかぐなおね)と呼ぶので、古くからの字は赤杭山かも知れません。

この山は三角点も有る尾根を代表する山なんですが、登山道は山頂を通らず北を巻いてしまっています。道を外れて尾根を登ったのですが、踏み跡はそれ程濃くありません。ここ迄来て山頂に寄らない人が多いのだろうかと不思議に思ったのですが、理由は後で分かりました。

ここを登っている時に光の帯に気付きました。海が太陽の光を反射しているのだと思います。時刻は9時頃なので横浜辺りの海でしょう。

赤久奈山

9:02 山頂に到着。木が伐採されてそれなりに広いですが、眺望は良くありません。この時刻ではまだ気温も低く、杉林から冷気が押し寄せて来るのでじっとしていられません。写真だけ撮って退散する事にしました。

逆方向にはしっかり道が付いていて、殆んど勾配の感じられない下りを100m位行くと登山道に合流しました。なるほど、こちらから往復した方が簡単に山頂へ行けるので手前から登る人は少なかったんですね。

林道

9:17 林道に出てしまいました。しかも、すぐそこまで舗装されています。この様に地図に無い林道は凄く気分が殺がれます。林業従事者の減少や高齢化で、効率を良くする為ある程度は仕方ないのでしょうが、こんな山奥まで舗装する必要って有るんでしょうか。

この林道は登山道の上に造られた様で、p957を巻いていた登山道がピークを通る様に付け替えられていました。このp957は分県登山ガイドの地図で桃ノ木平となっていますが、平と名が付くからには平坦地の筈です。林道に出る前の所がそう呼ぶに相応しい下草の目立つ平坦地なのですが、間違えているという事は無いんでしょうか。

林道2

p957を下ると再び先程の林道に出ます。交差する様にエビ小屋山への踏み跡が続いていましたが、指導標の川苔山は林道を向いています。エビ小屋山へ立ち寄るつもりでしたので踏み跡の方へ入ろうかと思いましたが、あまりの急勾配にその気が失せました。しかし、地形図を見ると大変なのは登り始めだけみたいです。

分岐

林道歩きは6分間だけです。この分岐から折り返すように林道を離れ、急な山道に入って行きます。

エビ小屋山

エビ小屋山の北で稜線に出ます。こちらの登りも決して楽ではなかったですから、エビ小屋山に寄るつもりなら南の踏み跡を入った方が良いでしょう。三戸山、赤久奈山、更にここと、どうも行動が裏目に出ています。

南から登った人の登山記を見ると、踏み跡は途中で薄くなりロストし易いそうです。しかし、地形図を見る限りは高い所を目指せば自然に山頂へ着く筈で、登りなら特に難しい所は無い様に思えます。

山頂に着いたのは9:58でした。ここも眺望は良くありません。落葉しているので枝越しに景色は望めますが、360度木に囲まれています。

防火帯

10:14 曲ヶ谷ノ峰まで防火帯を行きます。汗で湿ったタオルが凍るほど寒かったのですが、ここは陽に暖められ、風も無く快適だったので、15分の初休憩。

真名井沢ノ頭

10:36 真名井沢ノ頭は道から10m位外れた所に在ります。真名井沢北稜を登って来た道がここで合流しています。

狼住所

10:45 狼住所(おおかみすんど)と呼ばれる分岐に着きました。獅子口から登って来るとここに出ます。逆方向には地図に載っていない船井戸への道が伸びていました。

一風変わった名ですが、船井戸からここを通り、曲ヶ谷ノ峰を巻いて踊平まで行く道を狼新道と呼んでいて、それが転訛し狼住所となったという説があります。

曲ヶ谷北峰

10:45 丁字に突き当たった所が曲ヶ谷北峰です。川苔山は左、右に行くと踊平を経て日向沢ノ峰です。

正面右側に日向沢ノ峰が見えます。左のピラミッド型は蕎麦粒山です。

東の肩

すぐに川苔山東の肩と呼ばれる十字路に着きます。左へ鋭角に曲がると船井戸、右へ下ると百尋ノ滝です。

ここには古いトタン屋根の茶店が有ったそうですが、今は取り壊されて土台だった石や木片が散らばるのみです。ネットで色々見ていると、2008年の記録には写っていましたが廃屋同然で、とうの昔に廃業していた様です。2009年には今の状態になっていました。

広い防火帯を緩やかに登ると山頂です。

川苔山

10:59 山頂に到着しました。山名が川乗山になっていますが、正しくは川苔山です。川海苔が沢山採れた事から付いた名だそうです。

山頂パノラマ

西側の眺望は特に素晴らしいです。眼前に鳥屋戸尾根が横たわり、遠方中央に雲取山、そこから左に伸びる石尾根で一際高く見えているのは鷹ノ巣山です。石尾根の向こうには大菩薩嶺まで見えるではないですか。これだから冬山登山は止められません。


富士山

富士山も見えます。手前で富士山を半分隠しているのは三頭山です。

11:45 下山開始。東の肩まで戻り、船井戸に向かいます。

船井戸

船井戸からの主道は鳩ノ巣へ下っていますが、p1240へ登り返す細い道が分岐しています。この先は鋸山を越えた辺りから悪路です。一旦鳩ノ巣方向へ向かい途中で大ダワへ分岐する道も有りますが、どちらにしろ荒れていて歩き難い様です。

鋸山

この写真は赤久奈山を過ぎた辺りで撮った物です。地図に標高が表示されている為p1165を鋸山としましたが、離れて見れば前後のピークを含めて鋸山である事が見て取れますね。尚、川苔山はエビ小屋山に隠れて見えません。

実際に歩いてみると、岩稜の為さらに小さなピークが連続します。稜線を下る方向も急ですが、東斜面も急激に切れ落ちていて気を抜けません。稜線上に木が生えているので、この東斜面に乗り出さなければならない事もしばしば。

大ダワに向けての下り

大ダワに向けて最後の下りが特に怖いです。100m以上の高さを一気に下るのですが、落ち葉や浮いた砂、小石の為に滑ります。普通ならこういう場所は九十九折れに斜面を削って道を造るものですが、そんな事は一切していません。時に尻ブレーキを駆使しながら、半ば滑り落ちるように下って行きます。悪天候時には絶対通りたくない所です。

本仁田山

13:19 本仁田山に到着。午後になり日が傾き始めたので、東側だけ切り開かれた山頂には日光が届きません。朽ち掛けた休憩小屋で休憩していましたが、段々寒くなり我慢出来なくなりました。

本仁田山からの景色

エビ小屋山らしき山が左端に見えるので、真東ではなく東北東を向いている様です。この時刻ではもやが掛かって関東平野ははっきり見えません。13:36下山開始。花折戸尾根を下って行きます。

チクマ山

14:01 チクマ山を通過。本仁田山を下り始めてすぐに大休場尾根が分かれ、この先でゴンザス尾根が分かれます。それぞれの尾根に道が付いているので分岐になっていますが、どちらも左を選べば正解です。

長い下り

伐採地に出てp669が見えました。長い下りもこれで半分は過ぎていると思います。ここから少しの間、この辺では珍しいカヤトの中を行く道です。

尾根の末端

尾根の末端近くで地図に無い道が分岐していました。もしかすると鳩ノ巣荘へ続いているのかも知れません。

その少し先で道は尾根を外れて行きます。

鳩ノ巣駐車場

15:22 鳩ノ巣駐車場が見えました。民家の玄関先を通り抜け、青い橋を渡れば到着です。後半は疲れが出てペースが上がらず、本仁田山から2時間近く掛かってしまいました。

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