酉谷山

酉谷山(1718.3m)

酉谷山1

「Web Guide 秩父」で見付けてからずっと登りたいと思っていたコースです。秩父側からの直登ルートはここだけだと思うので、認知度が上がるに従い登る人も増え情報が多く得られる様になりました。山歩きにも大分慣れて来たのでそろそろ難易度を上げても良いだろうと思い、梅雨が開けたら登るつもりだったのですが、中休みで晴れの予報になり我慢出来ずに出掛けてしまいました。


酉谷山2

大血川に架かる向岳橋が入口です。ゲートは常時閉まっているので車は入れません。釣のシーズン以外なら近くの観光釣場に置かせて貰えそうですが、今の時期は釣り人が多いので300m位先の路肩が広くなった所に止めました。この辺りの標高はおよそ600mで、山頂までの標高差1100mは両神山以来の山行となりました。8:06スタート。


酉谷山3

東大演習林を抜ける東谷林道を終点まで歩きます。車が入れる道だったらあまり林道は歩きたくないのですが、足慣らしの為にはこういう緩い登りから始めるのが本当は良いのかも知れません。


酉谷山4

山腹に車道が走っているみたいなので霧藻ヶ峰だと思いますが、予報とは裏腹に厚い雲に覆われています。朝だけであれば良いと思っていたのですが…


酉谷山5

10分ちょっと歩いた所で対岸に小径を見付けました。他所のブログ記事で知っていましたが、入口を見落していた様です。早速対岸に渡りこの道を歩いてみます。


酉谷山6

ふーん、なるほど。味気ない林道を歩くより良いかも知れません。


酉谷山7

しかし、数分歩いただけで元の林道に合流してしまいました。ケンカ平歩道とは変わった名前ですね。帰りに見たら、ゲートから最初の橋(東橋)のすぐ先に同じ標識の立つ入口が有りました。


酉谷山8

8:37 クイナ沢橋を渡り、カーブを曲がり切った所(写真右端)が林道終点であり、登山口です。


酉谷山9

橋の左手には4段の滝が流れ、大きな水音を立てています。この流れがクイナ沢なのでしょうが、滝の名前は有りません。水は澄んでいて凄く綺麗な流れです。


酉谷山10

登山口はいきなりの崩落地から始まります。知らなければ戸惑う所でしょうから、情報収集は大事です。既に踏み固められた感じで、歩いても崩れる様な事はありませんでした。


酉谷山11

崩落地を左に何度か見ながらつづら折に登って行きます。この後、崩落開始場所のすぐ上を通り向こう側へ道が続くので、これからの長雨や台風などで崩落が進むと通れなくなる可能性が有ります。


酉谷山12

尾根上に出ても道は緩む気配がありません。どんどん高度は稼ぎますが、かなり苦しい登りです。


酉谷山13

檜の植林地になると道はトラパースする様になり、やっと一息つけます。


酉谷山14

9:31 分岐に差し掛かりました。このルートはガイドブックなどにも載っておらず、事前に調べておかなければ判断に迷う所でした。ここは丸太橋へ進みます。


酉谷山15

また崩落地です。ここも確認済みなので慌てる事無く高巻いてなんなく過ぎます。それ程深くないのですが、落ちたら自力で這い上がるのは難しそうなので慎重に。


酉谷山16

9:38 ここは直進が間違いなので要注意です。標識が有りますが、裏を向いているので意味を成してません。直進は多分黒ドッケ沢に在った古い道に繋がっていて、本来そちらを指していたのだと思います。今は大血川峠へ至る前にその道は消えてしまっているそうです。V字に折り返す様に左へ進みます。


酉谷山17

日が当たっていると林の中からは白く光って見える石灰石の斜面です。ここから酉谷山が見えましたが、山頂は雲の中です。


酉谷山18

10:33 塩地頭に到着。左へ行くと熊倉山です。


酉谷山19

赤テープの目印を頼りに進んで行くと倒木のゴロゴロ転がった雑木林へ入っていきます。この辺りから倒木を何度もまたぐ様になり、倍疲れます。


酉谷山20

11:11 小黒(1650m)に着きました。ここまで約3時間、順調に来ていましたが、ここでルートミス。東のなだらかな尾根に道が続き、目印も有るので疑う事無くそちらへ行ってしまいました。正ルートは南ですが、運悪く酉谷山が雲で見えない為に見当違いの方向へ下りている事にも気が付きません。


酉谷山21

やがて行き着いたのは巨大な岩が塞ぐ突端です。初めての山なのでここまで来ても間違えに気付きません。ここに誘われる人は他にもいるらしく、人の通った形跡も結構ありますしね。下を覗くと垂直な所は木1本分位の高さなので、覚悟を決めて下りて行きました。しかし、ここで無理をしたのが後々まで響きました。


酉谷山22

下り着いてからは鞍部に向かってひたすら藪漕ぎです。そうしているうちに、スズタケを踏み分けていた足が攣ってしまいました。岩を降りるとき無理な体勢で踏ん張ったのが原因でしょうが、それからはふとしたきっかけで攣ってしまい、その度に収まるまで動けません。山頂は見えているのに全然距離が詰まらず、小黒から通常の倍近く、約50分を要しました。


酉谷山23

11:58 山頂に到着しました。2人組みパーティーが先客で居ましたが、5分程で熊倉山の方へ下りて行き、その後は貸し切り状態です。酉谷山という名は元々奥多摩側の呼び名で、秩父側では黒ドッケ、又は手前の小黒に対して大黒という呼び名が有ります。今では酉谷山が広く認知され、一般に使われています。


酉谷山24

山頂は南面の木が広く刈られ、天気が良ければ奥多摩の山々が見渡せる筈でした。ガスは常に流れているので40分位粘ったのですが、ついに晴れる事は無く12:37下山を開始しました。


酉谷山25

登りでは全く余裕が無く、こんな所を通った記憶も有りません。一面ピンクの花びらで敷き詰められています。この辺りは広尾根でどこを行っても山頂に着きそうですから、実際に通っていないのかも知れません。


酉谷山26

山頂で40分休憩したにも拘らず、足は回復しませんでした。こんな枯れ木や倒木をまたぐだけで足が攣ります。


酉谷山27

12:50 大血川峠です。古くは黒ドッケ沢沿いに登ってきた道がここを交差し、酉谷山東の鞍部(通谷峠)を抜け日原まで通じていたそうですが、今は藪の中に没しています。最近までここには朽ちた標識が立っていたそうですが、今はそれも有りません。


酉谷山28

13:41 再び石灰石の斜面に戻って来ました。酉谷山を見ると雲は被っていませんが、やはり遠望は無理っぽいです。この頃にはしゃがむだけでも攣ってしまう様になり、足の疲れを取ろうとここで30分弱の休憩を取りました。再出発した時2度目のルートミス。緩い尾根上に踏み跡が続いているのでそちらへ入ってしまい、やがて急斜面で消えてしまいました。


酉谷山29

その後は地図を見ながら勘を頼りに道なき斜面を下りて行き、40〜50分彷徨い歩いた末にトラロープの所(12枚目写真)で登山道に合流。蹄の足跡を追ったりして貴重な体験をしました。尾根が急斜面になるまではしっかりした道が出来ていたので、よく探せば丸太橋の分岐へ通じる道が有ったのではないかと思います。クイナ沢橋に着いた時は15:15になっていました。


酉谷山30

ゲートに着いたのは15:50です。急坂でないにしろ、下りだったのに登りより5分余計に掛かりました。かなりバテているのが分かります。この時はもう2度と登りたくないと思っていましたが、数日経った今は涼しくなった頃にまた行ってみたいという思いに駆られています。

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